Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
人類は多くの多様な構成員から成る分業社会を築く能力を進化させてきたことで、現在の姿がある。そこで個性を生み出す機構の進化を解明するため、神経発達調節に関わる遺伝子領域中に特に多く存在する、グルタミン反復多型の進化の道筋を解明する。反復数が長い型は疾患を引き起こすリスクが高くなるにもかかわらず、現代人類集団の中で反復数がいかに多様化し、そして人類の生息域拡大の過程で遭遇した様々な環境の下、いかに維持されてきたかを明らかにする。そのために、世界中の人類集団において、数多くのグルタミン反復多型の分布状態を、新技術によって解読する。
2021年度は、元々個人規模で公募申請した研究内容に加えて、新学術領域内の統合作業に触発されて研究の幅を増やした。元々の公募申請内容では、霊長類チンパンジーサンプルの調達、および9つの領域についてLong PCRの条件検討を実施した。その結果、アニーリング温度やマグネシウム濃度がそれぞれまちまちながらも、4つの領域にてほぼ安定的条件を見つけた。また、その他3つの領域で再現性に不安定ながら標的バンドの増幅を確認した。新学術領域内諸分野間統合については、第4回から第6回の3回の全体会議に出席し、そのうち第5回では自己家畜化とゲノム変化による認知機構の進化に関するセッションで講演者として問題提起を行った。その結果、次の二つのことに気づいた。第一に、自己家畜化についての生物学的機序について、遺伝学的基盤、発生学的基盤、神経学的基盤、心理学的基盤をもっと整理し、分かりやすく提示することが求められていると感じた。第二に、ゲノム進化学の従来のアプローチは「一般的」生物についてであり、環境から選択圧を受動的にうけることのみを前提している。そのため生態学的地位(ニッチ)を自ら構築する人類の場合には、他の生物で発達した検証モデルには、当てはまらない。人類自ら自分たちのニッチを構築することで選択圧がゆるみ、従来は除かれていたような形質が中立形質として受け継がれる状況に近づいていくと考えられる。同時に他方では、人口が増えることによる遺伝的浮動の効果の減少で弱有害遺伝子が中立的に振る舞うケースが減り、選択的に振る舞うケースも増えることが考えられる。その両方の効果が考えられる前提で、ポリグルタミン多様化を定量的に評価して、過去の状況を推定できるようにすべきことに気づいた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020 Other
All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (7 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (2 results)
bioRxiv
Volume: -
10.1101/2020.03.28.012914
http://out-of-eurasia.jp/recruitment/2020.html