Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
レアアースフリー蛍光体である銀交換ゼオライトの構造を原子スケールで明らかにし,その蛍光特性発現機構の解明を行なっていく.銀カチオンの構造解析は高分解能電子顕微鏡法による原子スケール直接観察によってすすめるが,ゼオライト類は電子線照射への耐性が低いため,これらの原子スケール観察を行うには特殊な条件下での観察が必要となる.本研究ではこうした特殊な観察手法を用いることで,これまでに解析が困難であったゼオライト内カチオン構造を明らかにし,新規蛍光体形成のための重要な知見を構築することが本研究の目的である.
レアースフリー蛍光体として期待される銀交換型ゼオライトを合成し、透過型電子顕微鏡による原子スケール構造解析を行なった。サンプルはFAU型骨格を有する市販ゼオライト粉末(NaX型)を出発原料として水溶液中でのカチオン交換法により銀カチオンを導入した。ゼオライトは電子線への耐性が非常に低いことから、合成したサンプルの電子顕微鏡観察においては、低損傷観察法により解析を行なっており、像モードとしては重金属のコントラスト形成に有利となる高角環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF-STEM)法により行なった。HAADF-STEMでの高分解能観察の結果、ゼオライト内の銀カチオンが直接観察さすることができ、原子スケールでの構造解析が可能となった。複数の投影像を用いた構造解析により、FAU型骨格内で複数の異なる細孔サイトにたいして形成された銀カチオンクラスター構造が確認された。特に比較的大きな空間を有するスーパーケージ内においては、これまでに報告がなされていない特異なクラスターカチオンの形成が確認された。今回初めて確認されたスーパーケージ内の銀カチオンクラスターの構造は非常に特異なものであり構造は完全な解析までに至っていないが、ゼオライト細孔内での遷移金属カウンターカチオン分布といった点において非常に興味深い結果となっている。本研究で得られた構造情報はは将来的な計算化学との連携なども含めて、レアアースフリー蛍光体の設計における重要な知見を与えるものと期待される。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results)
ゼオライト
Volume: 38 Issue: 4 Pages: 95-102
10.20731/zeoraito.38.4.95
40022733430
Accounts of Materials & Surface Research
Volume: 6 Pages: 40-48
材料表面 - Accounts of Materials & Surface Research