Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
水素結合は官能基選択性と可逆性をもつことから、特異性と環境応答性を兼ね備えた接着手段としてのポテンシャルを有するが、水分子が相互作用部位に競合するため水圏での利用には不適と考えられてきた。本研究では、研究代表者の独自の設計に基づき、アミド基を多数導入したシクロデキストリン誘導体を合成し、その相互作用部位の水和状態および脱水和過程を詳細に理解することで、水分子との競合下においても多点水素結合による分子認識を実現する機能性超分子ユニットを開発することを目指す。
本研究では、アミド基を多数導入したシクロデキストリン誘導体を合成し、水分子との競合下においても多点水素結合による分子認識を実現する機能性超分子ユニットを開発することを目的としている。研究初年度の2020年度は3-ピリジルアミド基を7つもつシクロデキストリン誘導体の単離と、そのピリジル基をメチル化してカチオン性にしたピリジニウムアミドシクロデキストリンの合成検討をおこなった。2021年度では、メチル化反応の条件検討と化合物の精製検討を行い、7つのピリジル基を全てメチル化した目的化合物をトリフルオロメタンスルホン酸塩として合成・単離することに成功し、1H NMR, 元素分析などの手段でキャラクタリゼーションを行なった。次に、2020年度における予備的な実験で見出していたアニオン認識能について、より詳細な検討を行った。その結果、ピリジニウムアミドシクロデキストリンは水溶液中でフェニルリン酸イオンを10の4乗から5乗(L/mol)程度の強さの結合定数で結合することが示された。フェニルリン酸以外の芳香族リン酸イオンも同様に強い結合を示した。その一方で、無機リン酸などとの結合力は低下し、AMPやチロシンホスホン酸などの親水性の高いリン酸とは相互作用を示さなかった。このことから、シクロデキストリン内孔の疎水効果も結合に関与していると考えられた。また、フェニル基をもつアニオンであってもベンゼンスルホン酸イオンや安息香酸イオンとは相互作用を確認できず、顕著なアニオン識別能を有することが明らかとなった。上記の通り、分子認識を水圏で実現する機能性超分子ユニットとして、ピリジニウムアミド基を7つもつシクロデキストリン誘導体の開発に成功した。今後、その認識様式や構造の拡張性を詳細に調べることで、超分子化学に留まらず、水分子が関与する幅広い科学分野に大きな知見をもたらすことが期待される。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Science
Volume: 12 Issue: 22 Pages: 7720-7726
10.1039/d1sc01529j
120007182856
Chemistry Letters
Volume: 50 Issue: 10 Pages: 1822-1830
10.1246/cl.210418
130008101917
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 60 Issue: 6 Pages: 3080-3086
10.1002/anie.202011348
European Journal of Inorganic Chemistry
Volume: 2021 Issue: 4 Pages: 308-313
10.1002/ejic.202000882
Chemical Communications
Volume: 57 Issue: 17 Pages: 2124-2127
10.1039/d1cc00146a
Synlett
Volume: 31 Issue: 17 Pages: 1663-1680
10.1055/s-0040-1707155
https://www.chem.tsukuba.ac.jp/nakamura/
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