Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
暗黒物質の正体を探るべくさまざまな検出実験が世界的に計画されている。これらの実験計画をサポートするために、われわれの銀河内において暗黒物質がどう分布しているかを理解することは極めて重要である。これまでの研究によると、銀河内には無数のサブハローと呼ばれる微細な構造が存在することが知られており、これらが太陽系近傍に存在した場合、検出実験の見積もりが大きく変わってくると考えられる。本研究では解析的理論モデルを用いることで、サブハローの存在が暗黒物質実験にもたらす影響を調査する。
研究計画初年度である令和2年度においては、まずベースとなるサブハローの準解析的モデルを、いわゆる暖かいダークマターと呼ばれる暗黒物質候補に適用することからスタートした。(ベースとなるモデルは冷たいダークマターにのみ適用可能であった。)暖かいダークマターの場合、構造形成が始まった時点で、まだ準相対論的な運動をしていた粒子がある程度いたと考えられるため、物質密度のパワースペクトルに小スケールでのカットオフがかかる。このため、サブハローの質量関数や密度プロファイルといった性質が冷たいダークマターのそれとは異なることが期待できる。前述のサブハローの準解析的モデルのインプットの一つとして物質密度のパワースペクトルがあるが、これを暖かいダークマターのものに適正に変えることと、その他いくつかの改良をモデルに施すことによって、適用限界を広げることに成功した。実際このモデルで予言した、サブハロー質量関数などの物理量は、先行研究の数値シミュレーションによって得られたものとの良い一致が見られた。これにより、さまざまなダークマター質量に適用可能なフレキシブルなモデルの構築に成功したということができる。このモデルからの予言を、銀河内の衛星銀河の数と比較することで、暖かいダークマターの質量に制限をつけるということを次のステップとして取り組んでいたところであったが、学術変革領域研究(A)に採択されたことにより、重複制限のため計画廃止となった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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