Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
互いに非相溶な二種類の高分子鎖の方末端同士が化学結合で連結した高分子ブロック共重合体(BCP)が相分離により形成する球状ミクロ相分離構造は、一方の構成高分子の体積分率が10%程度のとき、その成分からなる球状ドメインを形成する。この球状ドメインの空間配列は秩序性を持つ場合、体心立方格子状に配列することが知られている。この10年間で、BCPおよびBCPに第三成分を混合した系で、ミクロドメインの空間配列において、12回対称準結晶やその近似結晶が発見された。BCPが形成する準結晶や近似結晶の形成機構を明らかにし、金属系準結晶形成機構との相違・類似点を議論し、全物質系において準結晶形成の普遍性の進める。
これまで発見してきたブロック共重合体のミクロ相分離構造のσ相および準結晶に加え、既報のブロック共重合体に発見された系に倣い、未発見のブロック共重合体の系を新たに合成し、それらの系で準結晶およびその近似結晶の発現があるか調べてきた。具体的にポリスチレン(PS)とポリアクリル酸メチル(PMA)からなるブロック共重合体を原子移動ラジカル重合による精密重合法で合成し、PSの体積分率として50%と18%の2種類のブロック共重合体を準備した。これらをある割合(体積分率50%試料の方を20-30重量%程度の混合比)で混合することによりフィルムを作成した。その試料を少なくとも4日間180℃で真空熱処理することでσ相(準結晶の近似結晶)およびA15相の形成を確認した。それらをもとに、より短時間(数時間から2日間)の熱処理を施すことで、12回対称準結晶(DDQC)形成を発見することができた。さらにフィルム試料作成をブロック共重合体の量成分に対して、共通な両溶媒を用いるより、片方成分(PMA成分)に対して選択溶媒を用いることで、溶液中で既に球状ドメインを形成させることで、準結晶およびσ結晶形成までの時間が大幅に小さくなることが明らかとなった。球状ドメインのサイズ分布が準結晶形成の鍵を握ることが言われており、溶液中で高分子鎖のMobilityが高い状態を保つことで構造形成にかかる時間を短縮することができることが分かった。新規な高分子ブロック共重合体の系としてはポリアクリル酸ブチルとポリメタクリル酸メチルからなるブロック共重合体においても準結晶が形成する兆しを確認でき、これらの特殊な構造が、一般的に形成する構造であることが改めて確認できた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 Other
All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)
MATERIALS TRANSACTIONS
Volume: 62 Issue: 3 Pages: 325-328
10.2320/matertrans.MT-MB2020002
130007990808
https://www.rs.tus.ac.jp/hypermaterials/