Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
量子スピン液体の発見を目指す研究が、実験・理論両面から精力的に進められている。とくに、シングレット・ダイマーが系全体を埋め尽くす無数のパターンが共鳴するResonating Valence Bond (RVB)と呼ばれる量子スピン液体(図1)[1]は、高温超伝導の起源として提唱されて以来、従来の長距離秩序が生じにくいフラストレーションのある周期系を中心に、その探索が盛んに行われている。本研究では、準周期系のようなハイパーマテリアルで、このような量子スピン液体が実現する可能性を、理論的・計算科学的に研究することを目的とする。
高温超伝導の起源として注目される量子スピン液体が実現する可能性の高い、フラストレートした量子スピン系に対して、大規模数値対角化を適用して研究してきた。従来から多くの研究がされている三角形を基本とする格子ではなく、まだ未開拓の五角形を基本とする格子系に焦点を当て、新奇な量子現象の理論的探索を進めてきた。その成果を以下に記す。(1)フローレットペンタゴン格子反強磁性体の磁化過程タイリングの問題で注目されているフローレットペンタゴン格子と呼ばれる格子におけるスピン1/2反強磁性体の磁化過程について、有限クラスターの大規模数値対角化を適用して、磁化曲線とそのスピン状態を解析した。すべての反強磁性相互作用の強さを等しくした場合には、飽和磁化の1/9, 1/3, 7/9に相当する磁化に磁化プラトーが現れることが判明した。3つの非等価なサイトの平均磁化を計算することにより、これらの磁化プラトーのメカニズムを理論的に解明した。また、2種類の強さの違う反強磁性交換相互作用を導入した場合には、この相互作用の比を変えると、5/9磁化プラトーも出現することが判明した。さらに、磁化プラトーとは隣接しない磁化ジャンプが起きることも判明した。一方、研究課題に掲げた5回対称非周期系(準結晶、ハイパーマテリアル)の磁化過程の研究にも着手したが、まだ有意な成果は得られていない。(2)直行ダイマー系の量子相転移Shastry-Sutherland模型と呼ばれるフラストレーション系は、2種類の反強磁性交換相互作用の強さの比によっては、直行ダイマー状態が厳密な基底状態になることと、この比を変えると新しいプラケット・シングレット状態が基底状態になる量子相転移が起きることで注目されている。この系に大規模数値対角化を適用することにより、さらに新しい量子相転移が起きることを示した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 4 results) Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 6 results, Invited: 1 results) Remarks (1 results)
AIP Advances
Volume: 12 Issue: 3 Pages: 035030-035030
10.1063/9.0000255
Journal of Physics: Conference Series
Volume: 2164 Issue: 1 Pages: 012030-012030
10.1088/1742-6596/2164/1/012030
Journal of Physics Communications
Volume: 5 Issue: 12 Pages: 125008-125008
10.1088/2399-6528/ac3f7a
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 015306-015306
10.1063/9.0000032
http://cmt.spring8.or.jp/index.shtml