Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
全固体電池の心臓部とも言うべき「電極活物質/固体電解質界面」を対象として、X線を照射することで生じる光電子の運動エネルギーを分析する「X線光電子分光法」を適用し、界面近傍相(数nmから数十nm領域)のさまざまな構造情報を取得する。構造と物性の対比によって、高いイオン輸送抵抗を生み出す界面異相成分の正体を解き明かし、良導性界面の設計指針をもたらし、将来的な全固体二次電池の実現・普及に貢献する。
これまで、入射光としてAl-Kα, Ag-Lα, Cr-Kα線源を具備する実験室型X線光電子分光装置を基盤として、電池試作環境から真空槽への大気非曝露搬送および充放電中におけるその場測定が可能な独自のシステムを開発してきた。この一連の装置により、計画研究A01班により作製された薄膜型の標準電池を対象として、LCO/LATP界面における組成およびバンド構造の深さ分解分析を進めてきた。その結果、Cr-Kα線源を用いた硬X線光電子分光測定であれば、10 nm程度のLCOに埋もれたLATPの構成元素のうち、O 1s、Al 1sなどの観察が可能であることが実証された。このLCO/LATP界面においては、LATP単体表面には現れない特異なAl種が見出されている。この化学種の深さ分布および充放電中の動的な挙動を観察する目的で、さらに、薄膜電池試料に電圧を印加しながらX線-試料-アナライザのジオメトリを制御して光電子の脱出深さをチューニングするための角度分解試料ホルダを開発した。2023年度まで継続される新学術領域研究「蓄電固体界面科学」において、引き続き、関連研究者として活動し、ここまでに開発してきた装置および計測技術群を充放電時における界面の動的構造とイオン輸送抵抗の関係を明らかにするために活用する。加えて、公募研究A01班により開発された負極用新材料を対象とした反応解析も2020年度より継続しており、新材料が従来材料よりはるかに優れたサイクル特性を生み出す起源が明らかになりつつある。別途、開発を進めているプローブ顕微鏡によるナノ構造・力学特性マッピング技術なども援用して、劣化現象のマルチスケール理解を目指した研究へと展開させる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 3 results)
Vacuum and Surface Science
Volume: 64 Issue: 12 Pages: 552-555
10.1380/vss.64.552
130008128216
Journal of Physics Communications
Volume: 5 Issue: 1 Pages: 015001-015001
10.1088/2399-6528/abd617