Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
植物は胚発生後にも器官新生を継続し、動的かつ可塑的に成長を続ける特有の発生動態を示す。このような植物の動的成長を駆動するためには、高度に統御されたオルガネラや細胞の再構成系が必要となる。本研究では、時空間的に統御されたオートファジーによる細胞の再構成が、植物の根冠細胞層の剥離という器官形成に必須の過程を進行させる機構を明らかにする。
根冠は、植物の根の先端をキャップ状に覆っており、細胞層の新生と剥離を周期的に繰り返しながら、形態と機能を維持するというユニークな組織である。細胞の新生から剥離までの遷移を数細胞層において連続的に観察できるため、植物発生における細胞の再構成の優れたモデルである。本研究では、根冠の細胞動態の長時間かつ高精細な観察を推進し、根冠における細胞分化にともなった再構成機構を明らかにすることを目的とする。「水平光軸型動体トラッキング顕微鏡」をもちいたタイムラプス観察により、オートファジー活性、液胞やアミロプラストの形態変化、および、核の位置の変化について、根冠細胞の分化や剥離との時空間的な相関性を解析した。その結果、最外層の剥離が進行するのに伴って、1層内側の細胞層の核の位置が中央へと変化し、また、連動して液胞の肥大化やアミロプラストの縮退が進行して、細胞内構造が劇的に再構成されることが明らかになった。根冠最外層が内層とは異なる細胞構成をもつことは以前より知られていたが、我々のタイムラプス観察により、その変化過程の詳細が明らかになった。オートファジーは最外層の剥離の進行に応じて、時空間特異的に活性化された。この時空間特異的なオートファジーの活性化の役割を明らかにするために、根冠最外層特異的に発現する遺伝子(RCPGとBRN1)のプロモーターを利用して、根冠外層特異的なオートファジー相補ラインを作出した。これらのラインでは細胞内構造の変化や剥離様式の異常などのオートファジー欠損による根冠の表現型が相補されたことから、オートファジーは細胞自律的に根冠最外層の再構成や剥離を制御することが明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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