Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
経験や学習時に起こる神経活動によって脳神経回路のシナプス伝達効率の変化やシナプスの形態及び数の変化が起こる。シナプス形成誘導分子であるCbln1分子は細胞外で機能するが、Cbln1は細胞内のリソソームから神経活動によって細胞外に分泌される。その分泌機構にオートファジーからの分泌と共通する分子が使われている。そこで、シナプス形成に関わる分子とオートファジーとの関わりを明らかにすることで、シナプスの数を増減させるメカニズムを理解する。精神疾患、神経発達症及び認知症にはシナプスに関連する分子が数多く関わっているため、本研究によって病態解明や治療法開発を大きく進める可能性がある。
シナプス形成因子であるCbln1は細胞外で機能するが、研究代表者はこれまでにCbln1は軸索のリソソームから神経活動によって細胞外に分泌されることを明らかにしており、また、その分泌機構にはシンタキシン4とSNAP29分子が関与していることを明らかにしている。SNAP29とシンタキシン4はオートファゴソームやオートリソソームからの分泌にも関わる分子であることから、分泌性のオートファジーと神経活動依存的なCbln1の分泌に関連があると考え、昨年度はCbln1とオートファジー関連分子との共局在を免疫染色法にて調べた。その結果、Cbln1とLC3共局在することが判明した。また、小脳顆粒細胞の軸索において蛍光タンパク質を繋げたLC3とCbln1の一部は共に輸送されていることが判明した。さらに、mCherry-LC3と共局在するCbln1-SEPが神経活動依存的な分泌を示すことが判明した。これらの結果から、分泌性のオートファジーと神経活動依存的なCbln1の分泌に関連があることが推察された。2021年度はオートファゴソームとリソソームとの融合に関わるシンタキシン17のドミナントネガティブ(DN)変異体を用いてCbln1分泌が阻害されるかを調べた。その結果、シンタキシン17のDN変異体がCbln1の分泌を阻害することが明らかとなった。また、軸索においてCbln1とシンタキシン17の共局在しているが明らかとなった。これらの結果からシンタキシン17がオートファゴソームとリソソームの融合だけではなく軸索においてはCbln1の分泌にも関わっていることが推察された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。