Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、標的タンパク質に対するリガンド分子(阻害剤など)の親和性を、時空間的に光と熱で精密に操作することで、「リガンド分子とタンパク質がどのように相互作用して、結合・解離するのか」という動的過程を、高速分子動画法によって分子レベルで活写する手法の確立を目指す。得られた分子動画におけるタンパク質の動きを精査し、その情報をリガンド設計指針にフィードバックすることで、より特異的で強力な新しいリガンド分子の開発に繋げる。
本研究では、タンパク質とリガンドが結合する過程や、タンパク質・リガンド複合体が解離する過程を、高速分子動画法により動的に解析するためのケミカルバイオロジー技術を開発することを目指した。具体的な標的タンパク質として、細胞分裂に関与するキネシン様モータータンパク質であるCENP-E(Centromere-associated protein E)を設定した。種々検討の結果、アゾベンゼン誘導体に様々な置換基を導入し、熱緩和過程を制御することで、「熱」と「光」でCENP-E活性を操作できる阻害剤を、複数開発した。得られた光・熱制御型CENP-E阻害剤群において、それぞれのシス体の寿命はマイクロ秒、ミリ秒、分オーダーと幅広く制御することができた。さらに、これらの光・熱制御型CENP-E阻害剤を用い、細胞内のCENP-E活性を制御することで、CENP-Eが司る分裂期染色体の動きを操作できることも確認した。さらに、本手法を別の標的タンパク質へと拡張した。CENP-Eの系で得られた知見を活用することで、細胞骨格の1つであるアクチン・ミオシン系に主として作用し、細胞質分裂にも関与するキナーゼであるROCK(Rho-associated coiled-coil-containing protein kinase)のアゾベンゼン型阻害剤を設計・合成した。得られた光制御型ROCK阻害剤を利用し、細胞内のROCK活性を光操作できることを確認した。以上から、本研究において、CENP-EとROCKを標的タンパク質とし、リガンド結合・解離を「光」および「熱」の外部刺激で制御できる分子ツール群の開発に成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results)
YAKUGAKU ZASSHI
Volume: 142 Issue: 5 Pages: 513-519
10.1248/yakushi.21-00203-5
Organic & Biomolecular Chemistry
Volume: 19 Issue: 32 Pages: 6979-6984
10.1039/d1ob01332g
Chemical Communications
Volume: 57 Issue: 93 Pages: 12500-12503
10.1039/d1cc04905d