Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
2009年以降、世界各地でフェムト秒X線レーザーの供用が始まり、化学反応のさなかにある分子の構造変化を追うことも夢ではなくなった。本研究課題では、連続フェムト秒結晶構造解析とよばれる分子動画撮影法の高感度化を目指し、X線入出斜窓に極薄膜を用いた低バックグラウンド試料セルを開発する。さらに、試料セルをマイクロ流体デバイスへと発展させることで、本新学術領域の大きな研究テーマである「光励起性によらない分子動画撮影」の可能性を探る。
本研究課題の目的は、グラフェンや窒化ケイ素薄膜を支持膜に利用した低バックグラウンド試料ホルダ・セルを開発することで、動的結晶構造解析の高感度化に貢献することである。以下の2つの項目に分けて、2021年度の研究実績の概要を述べる。グラフェン上のコンタミネーション分析:化学気相成長によって合成したグラフェンを、カーボン支持膜つきのTEMグリッドに転写することで試料ホルダとしている。X線レーザーを用いた予備実験により、グラフェン上に、計測上無視できないコンタミネーションの存在が示唆されたため、その混入経路の特定と元素分析を目的として、収差補正電子顕微鏡による原子分解能観察を実施した。その結果、先行研究で存在が知られていたシリコンや酸素、炭素のコンタミネーションに加え、重元素である銅などで構成される原子スケールから数ナノメートル程度のコンタミネーションの存在が明らかになった。さらに、その結果をグラフェンの転写プロセスへフィードバックすることで、コンタミネーションを低減できることを確認した。真空計測システムの開発:計画班との共同研究として、SPring-8 BL19LXUにおいて、真空環境でX線結晶構造解析が可能な、新規計測システムを立ち上げた。真空環境に結晶を配置することで、空気散乱を低減し、結晶構造解析の高感度化が期待される。今年度は、本システムを用いた実証実験として、構造が既知である低分子結晶を試料に用いた測定を行った。各光学素子のアライメントや、データ収集プロセスを確立し、計測システムが機能することを確認した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020 Other
All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 3 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results) Remarks (1 results)
Nano Letters
Volume: 22 Issue: 11 Pages: 4603-4607
10.1021/acs.nanolett.1c04392
Optica
Volume: 9 Issue: 7 Pages: 776-784
10.1364/optica.457352
Review of Scientific Instruments
Volume: 91 Issue: 8 Pages: 083706-083706
10.1063/5.0008398
120007053062
https://researchmap.jp/akihiro.suzuki