Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究はSACLAを用いた時分割実験を行い、タンパク質の動的構造の解明を目的とする。そのため、クロライドイオンポンプロドプシンを用いて実サンプルの光反応機構の解明を行うとともに、光分解性のケージング基(保護基)を付加したアミノ酸を大腸菌無細胞合成系に加えることで、光により酵素反応を開始させ、SACLAにおける時分割実験にてその反応機構を見る研究への応用開発を行っていく。
海洋性細菌Nonlabens marinus由来NM-R 3 (N. marinus rhodopsin-3)は光駆動性クロライドポンプである。光駆動性クロライドポンプの中で最も研究が進展しているハロロドプシン(HR)とは異なる系統から独自に進化し、アミノ酸配列から大きな違いが認められる。申請者は、このNM-R3の構造解析に成功し、HRやバクテリオロドプシンなど他の細菌型ロドプシンとの相違点を明らかとしたが、詳細なイオン輸送機構については未知の部分が残っている。そこで、本研究では、NM-R3のイオン輸送機構の詳細な解明を、時分割構造解析により行うことを目的とした。X線自由電子レーザー施設SACLAを用いた時分割結晶構造解析により、光照射に伴うNM-R3の構造変化を詳細に捉えることに成功した。この結果からNM-R3が塩化物イオンを輸送するメカニズムと輸送経路を明らかにするとともに、イオンの逆流や過流入を防ぐ巧妙な仕掛けがあることを見いだし、論文発表を行った。加えて、光反応性のアミノ酸をタンパク質に導入するため、大腸菌無細胞合成系にてcaged-Tyrを導入する系の立ち上げを行った。まず、アミノアシルtRNA合成酵素の改変を行い、caged-Tyrを結合することを構造から明らかとした。次にlysozymeをポジコンとして用い、caged-Tyrがlysozymeに導入され、365 nmの光を照射することでcaged基が外れることを明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 119 Issue: 9
10.1073/pnas.2117433119
https://www.riken.jp/press/2022/20220228_1/index.html