Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
強すぎる恐怖の記憶により、動物は適応的な行動を取れない不適応状態に陥る。その後、安全な状態で似た状況に繰り返し遭遇することにより、適応的な行動を回復する超適応が見られる。この超適応には扁桃体、腹側海馬、大脳皮質前頭前野からなる脳領域間ネットワークの変化が重要な役割を担っていると考えられている。そこで本研究では不適応状態に陥る前から超適応状態に至るまでの間、この3つの脳領域から多数の神経細胞の活動を電気生理学的に記録し、これらの脳領域間のネットワークが超適応に伴いどのように変化するかを明らかにする。さらに光遺伝学を用いた神経活動への介入を行い、その変化の制御メカニズムを明らかにする。
恐怖記憶が形成されると、その記憶が強すぎるために適応的な行動が取れなくなる不適応状態に陥る。一方、恐怖記憶の消去は、恐怖の記憶を保持しつつも新たな学習を行い適応的な行動を回復する超適応過程であると考えられている。前年度に引き続き、恐怖記憶による超適応変化を理解するための基礎となる知見として、 そもそも不適応状態への遷移にともないどのような変化が脳領域間ネットワークに生じるのかを明らかにするために研究を行った。恐怖記憶には扁桃体、大脳皮質前頭前野、腹側海馬などの脳領域が関与することが知られている。前年度前までに行った、これらの3つの脳領域での大規模電気生理学を用いた同時記録で得られたデータを基に、さらなる解析を行った。具体的には、恐怖条件づけ課題を行っている際の神経活動パターンに独立成分分析を適用することによって同定された各脳領域の恐怖記憶に関わるセルアンサンブルが、恐怖記憶獲得後の睡眠中にどうように相互作用するか、という点について検討を行った。扁桃体、大脳皮質前頭前野、腹側海馬の3つの脳領域のセルアンサンブルの活動の関係を解析するため、相関関数解析を3変数に拡張し、そのピークの統計的な有意性を評価した。その結果、恐怖記憶獲得後の睡眠中には、扁桃体、大脳皮質前頭前野、腹側海馬に存在するセルアンサンブルがほぼ同時に活性化されるようになることを発見した。さらに、この3領域間の同期活動の際におこる局所電場電位のパターンをウェーブレッ ト変換を用いて解析した。その結果、これらの脳領域横断的な同期活動の際には、各領域で100-200Hz程度の速い局所電場電位の振動が一過的に生じることが明らかとなった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
Volume: 13 Issue: 1 Pages: 1272-1272
10.1038/s41467-022-28929-x
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2021/220315-2
http://physiology.jp/science-topic/25243/