Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、加齢による神経路の解剖学的および電気生理学的変容を解明するために、若年および老齢の動物(基本はげっ歯類、解剖学的所見は一部マーモセット)を用い、シナプスから行動レベルまで系統だてて解析する。ドーパミンに関しては、細胞外液の量はボルタンメトリーで測定し、神経細胞に影響する量はAAV9-hSyn-dLight1.2 (addgene) による光イメージング によって測定する。さらに、将来的な治療アプローチを考える上では、各状況下でのドーパミン受容体の構成と量を知っておく必要があり、研究代表者が得意とするPost-embedding法で解析する。
フレイルティは、加齢による身体機能の低下のみならず、モチベーションの低下を含む認知機能の低下など、精神的な面での低下が認められ、総合的に社会生活が損なわれていく多面的な状況を指す。つまり、加齢とともに、運動機能と脳機能は、どちらが原因とも結果とも言い難く、連動しながら障害されていく。一方、多くの神経変性疾患の発症率は、加齢とともに上昇する。たとえば、パーキンソン病は、中脳黒質のドーパミン神経細胞の変性脱落を病因としており、高齢になるほど発症率および有病率は増加している。しかし、これまでの基礎研究の多くで使われた実験動物は若年成体であり、加齢、もしくはドーパミン量の変化による神経路の可塑性については、全く解明されていない。本研究では、この問題を解明するために、加齢と神経伝達物質の影響とを切り分けつつ、大脳基底核神経路がどのように適応的に作り変えられているかを解明することを目的とした.ドーパミン神経細胞は生化学的・遺伝学的に複数のサブクラスに分類されるが、パーキンソン病あるいは加齢により変性するドーパミン神経細胞のサブクラスは同じものなのだろうか? パーキンソン病により優先的に変性脱落するサブクラスはcalbindin 陰性のドーパミン神経細胞であることがわかっているため、老齢マウスにおいてcalbindinとドーパミン合成過程の律速酵素であるチロシン水酸化酵素 (TH) の二重免疫染色を行ったところ、ドーパミン細胞の絶対数およびサブクラスの比率に加齢による変化がないことがわかった。また、THの免疫染色により、中脳黒質から線条体へのドーパミン投射量を観察したところ、線条体におけるTH量に関しても加齢に関する変化は認められなかった。このため、加齢自体はドーパミン減少の原因ではなく、パーキンソン病の罹患率が加齢によりあがるのは、別の原因であることが明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neurobiology of Learning and Memory
Volume: 183 Pages: 107484-107484
10.1016/j.nlm.2021.107484
STAR Protocols
Volume: 2 Issue: 1 Pages: 100230-100230
10.1016/j.xpro.2020.100230
iScience
Volume: 23 Issue: 9 Pages: 101409-101409
10.1016/j.isci.2020.101409
https://anatomy3.hokkaido.university