Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
亜鉛は必須微量元素であり、その不足や過剰摂取は様々な病態を引き起こすため、生体内における亜鉛量を適切に調節する機構の理解は重要である。しかしながら、細胞および細胞内小器官レベルでの亜鉛恒常性維持機構についてはほとんど知見がない。本研究では、ケミカルバイオロジーと細胞生物学的解析を組み合わせて、ゴルジ体における亜鉛制御を解明し、さらに分泌型亜鉛酵素活性化機構の解明を目指す。
昨年度までにゴルジ体に局在するZnTの発現抑制がゴルジ体内の遊離亜鉛濃度を低下させることを見出し、さらに、発現抑制するZnTによって濃度低下するゴルジ体の領域が異なることを発見した。ZnTは亜鉛イオンとプロトンのアンチポーターであるため、ZnTの発現抑制は、ゴルジ体内にプロトンを蓄積させ、pH が低下するのではないかと着想し、ZnTを発現抑制した細胞におけるゴルジ体pHを、pHプローブであるpHluorin2を用いて解析した。その結果、ZnTの発現抑制はゴルジ体のpHに影響を与えないことが明らかとなった。このことは、ゴルジ体におけるpHの調節が亜鉛調節の上流に位置する可能性を示唆した。ビオチンの添加によって小胞体からの出芽を誘導できるRUSHシステムを用いて、ERp44を小胞体からゴルジ体へ同調輸送する実験系を開発した。このシステムでERp44の動きを観察したところ、ビオチン添加後小胞体からゴルジ体に移行し、その後小胞体へと戻る様子が観察された。これは、ERp44がゴルジ体で亜鉛イオンと結合することで、C末端RDEL配列を介したゴルジ体から小胞体への逆行輸送が生じていると考えられrた。ゴルジ体に局在するZnT亜鉛輸送体を発現抑制した細胞では、ERp44のゴルジ体局在の時間に変化が見られたことから、ゴルジ体における亜鉛イオンの濃度調節がERp44の亜鉛化に重要な役割を果たしていることがサポートされた。ERp44以外の亜鉛酵素についても同様の解析を行い、酵素活性を測定する実験系を開発した。小胞体からゴルジ体へ移行し分泌小胞へと輸送される過程で酵素の活性化が生じる経過を見出しつつある。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results)