Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
鉄は私たちのからだに最も多く含まれる重金属であり、酸素の運搬や種々の酵素の活性中心などの重要な役割を果たしている。一方、過剰鉄は種々の発がんリスクとなることも明らかにされてきた。このような状況において、新たな細胞死としてフェロトーシスが提唱された。フェロトーシスは、二価鉄依存性に脂質過酸化を伴う新たな制御性壊死である。私たちは、これまでに過剰鉄が活性酸素産生を触媒し、がんを引き起こすメカニズムを明らかにしてきた。これまでの知見と技術を応用することにより、フェロトーシスが引き起こされるメカニズムならびにがん細胞がフェロトーシス抵抗性を示す機構を鉄代謝の観点より明らかにする。
アスベストを処理するマクロファージ細胞は肉芽腫を形成するが、同時にフェロトーシスもおこす。肉芽腫におけるフェロトーシス依存性EV(FedEV)につきラットモデルで検討した。細胞外小胞(EV)マーカーであるCD63の発現は中皮細胞で強く顆粒状パターンで認めた。GFP-CD63を発現するTHP1マクロファージ細胞およびHT1080細胞を樹立しGFPラベル化EVのみ回収した。このFedEVを中皮培養細胞MeT-5Aに添加するとFedEVはエンドサイトーシスで取り込まれることが判明した。FedEVに含まれるタンパク質をLC-MSで解析しフェリチンを同定した。FedEV曝露による中皮細胞DNA傷害を解析すると中皮細胞核内でDNAの酸化傷害(8-OHdG)、DNAの2重鎖切断(γH2AX)が増大しており、この分子経路もアスベストによる中皮腫発がんの機構の1つと考えた。過剰鉄は発がんリスクである。次に、鉄ニトリロ三酢酸(Fe-NTA)投与マウス腎がんモデルを使用し、発がん感受性に関して検討した。A/J系統とC57BL/6J系統を比較するとA/J系統の発がん感受性が高いことを見出した。A/J系統腎がんではアレイCGH解析によりp16がん抑制遺伝子のホモ欠損を確認した。Fe-NTA投与亜急性期で比較すると、A/J系統でGPX4とxCTが高く維持されTfR1は低くなり、フェロトーシス抵抗性が生じていた。急性期ではC57BL/6Jで触媒性2価鉄とlipocalin 2発現が高く、フェロトーシス感受性の原因となっていた。総じてこの過剰鉄負荷による腎がんモデルでは、フェロトーシス抵抗性が高いA/J系統で高用量鉄負荷に耐えることが可能であり腎不全急性期死亡も少なく、最終的に発がん率が高くなったと考えた。フェロトーシス感受性は事故的過剰鉄負荷に致死的であるが、長期的には発がん抵抗性となる可能性がある。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Redox Biology
Volume: 43 Pages: 101989-101989
10.1016/j.redox.2021.101989
Blood
Volume: - Issue: 16 Pages: 1490-1503
10.1182/blood.2021010995
Cancer Science
Volume: 113 Issue: 1 Pages: 65-78
10.1111/cas.15175
Volume: 47 Pages: 102174-102174
10.1016/j.redox.2021.102174
Volume: 48 Pages: 102175-102175
10.1016/j.redox.2021.102175
Metallomics Research
Volume: 1
130008159234
Journal of Cancer Prevention
Volume: 26 Issue: 4 Pages: 244-249
10.15430/jcp.2021.26.4.244
Volume: N/A Issue: 4 Pages: 1180-1192
10.1111/cas.14358
Free Radical Research
Volume: - Issue: 11-12 Pages: 1-11
10.1080/10715762.2020.1733548
Volume: N/A Issue: 2-3 Pages: 1-231
10.1080/10715762.2020.1743285
Cancer Sci.
Volume: 111 Issue: 6 Pages: 2016-2027
10.1111/cas.14405
Volume: 36 Pages: 101616-101616
10.1016/j.redox.2020.101616
Volume: 37 Pages: 101726-101726
10.1016/j.redox.2020.101726
Volume: 111 Issue: 8 Pages: 2665-2671
10.1111/cas.14496
Archives of Biochemistry and Biophysics
Volume: 689 Pages: 108440-108440
10.1016/j.abb.2020.108440
120006941032
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects
Volume: 1864 Issue: 11 Pages: 129685-129685
10.1016/j.bbagen.2020.129685
Cancers
Volume: 12 Issue: 11 Pages: 3320-3320
10.3390/cancers12113320
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/laboratory/basic-med/pathology/pathology1/
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