Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
化学合成で未だ確認されたことのない様々な形態のバイオPOMやオキソ酸を内包したモリブデン貯蔵タンパク質(MoSto family)の構造解析に挑戦する。その過程において、種々の分析法を組合せ、MoStoによる前周期遷移金属のセンシング・取込放出挙動に伴う構造ダイナミクスを分子・原子レベルで体系的に明らかにする。さらに、生体内に存在する様々なオキソ酸とのセンシング機構を比較することで、ホウ酸などの生命金属動態「維持」、ヒ酸やクロム酸などによる生命金属動態「撹乱」に関して、当該領域が目指す「生命金属科学」の樹立に新たな切り口を提案する。
モリブデンMo, タングステンW, バナジウムVなどの前周期遷移金属は酵素活性中心として様々な機能を司っており、その生体内動態の詳細解明が望まれている。加えて、ジルコンZrやハフニウムHfの動態は全く明らかでない。特にMo, Wは水中で主にオルトオキソ酸として存在するため、硫酸と類似の代謝経路が深く研究されてきた。しかし、典型元素のオルト酸と異なり、アミノ酸残基による直接配位やポリオキソメタレートの形成など性質の異なる点も多い。そこで、我々はオキソ酸の認識だけでなく、配位化学と前周期遷移金属に特徴的なポリオキソメタレート形成という新たな観点から分子機構を解明することで、互いに性質の類似したMo, Wについての生命金属動態にアプローチできると考えた。昨年度から行ってきた窒素固定細菌由来Mostoの発現系はT7プロモーター下流にアルファ、ベータサブユニットそれぞれをコードする遺伝子を配置することで飛躍的に発現量が増加することがわかった。また、この調整法で単離したMostoはMoやWを一分子に150原子取り込むことが明らかとなった。一方で、系統樹解析から明らかとなった分子状態のことなるホモログに関しても同様の発現系を構築した結果、プロテオバクテリア由来のホモログなどでは可溶性画分への発現が見られた。Strepタグによるアフィニティークロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーにより、単離に成功し、ゲルろ過クロマトグラフィーからは六量体構造をとっていることが示唆された。また、窒素固定細菌のものとはMoとWに対する選択性が異なることが分かった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
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生化学
Volume: 93 Issue: 4 Pages: 521-525
10.14952/SEIKAGAKU.2021.930521
40022687557
Angewandte Chemie International Edition
Volume: - Issue: 32 Pages: 13385-13390
10.1002/anie.202004733