Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
銅は多様な生命現象に必須の役割を演じており,生体内においてその濃度は厳密に調節されている。銅濃度の破綻は,種々の疾患の原因となることが知られており,また,銅濃度異常の是正が治療に繋がることも知られている。我々は最近,ダウン症モデルマウスの脳での銅蓄積を見出しており,未だ無いダウン症の治療薬の標的となる可能性を期待している。本研究では,その原因遺伝子の同定や病態生理学的意義の解明を目指しており,研究成果は,ダウン症脳機能異常に対する治療戦略の基礎構築に留まらず,新規銅濃度調節因子の同定など生命金属学においても重要な知見を提供できると考えている。
我々は、ダウン症 (DS) モデルマウス脳において銅の蓄積を見出したことから、本研究では「DS脳における銅蓄積責任遺伝子の同定」、「DS知的障害における銅蓄積の役割の解明」および「ヒトDSでの銅代謝異常の検出」を目指している。「DS脳における銅蓄積責任遺伝子の同定」においては,様々な新規DSモデルマウスを作製することで責任遺伝子の絞り込みを試みた。これまでに銅蓄積が認められたDSモデルマウスは約70遺伝子がトリソミー領域にコードされているが,新たに4種類のモデルマウスの解析を加えることで,16遺伝子にまで絞り込むことができた。 「DS知的障害における銅蓄積の役割の解明」では,銅蓄積関連分子の同定と異常行動について調べた。DSモデルマウス脳での銅蓄積を低銅含有食の投与により改善した際に発現異常が改善される遺伝子を網羅的遺伝子発現解析により調べたところ,DSモデルマウス脳で発現異常が認められる分子の半数以上が銅蓄積によるものであることを見いだした。また,情動記憶異常における銅蓄積の役割を低銅含有食投与の有無で比較し検証したところ,銅蓄積改善によって情動記憶異常の改善傾向をとらえることができた。「ヒトDSでの銅代謝異常の検出」に関しては,医療機関と連携したトランスレーショナルリサーチを展開する準備を整え,DS者の血清を収集を開始することができた。非DS者との比較により血清銅濃度の比較を行いっていく。さらに本新学術領域の研究者と有機的な連携を構築し,新たなDS病態と生命金属科学との関連性に関する共同研究を開始している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 3 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 4 results) Remarks (2 results)
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
Volume: 71 Issue: 1 Pages: 16-21
10.3164/jcbn.21-155
130008159803
Leukemia
Volume: 36 Issue: 2 Pages: 558-561
10.1038/s41375-021-01384-1
Factors Affecting Neurodevelopment: Genetics, Neurology, Behavior, and Diet
Volume: - Pages: 83-91
10.1016/b978-0-12-817986-4.00008-0
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 535 Pages: 87-92
10.1016/j.bbrc.2020.12.026
https://labo.kyoto-phu.ac.jp/byoutai/byoutai-j.html