Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、アクティブマター系における拡散現象が盛んに研究されている。アクティブマター系は非平衡定常状態にあるため、異常拡散と呼ばれる特異的な拡散現象が観測されることが知られている(例えばレヴィ・フライト)。そこで本計画では、水中の自己駆動スイマー系で発見された異常拡散現象に着目し、そのメカニズムをミクロな視点から体系的に理解するための、統計力学的な数理基盤の構築を目指す。
本研究課題ではアクティブマター系の異常拡散現象を解明するための数理基盤を研究した.アクティブマター系は水中の流体力学相互作用に起因して,非マルコフ性が顕著な異常拡散現象が生じる.しかし,非マルコフ確率過程を扱う数理的手法はあまり発達していないという問題点があった.そこで本研究課題では物理における非マルコフ確率過程の数理基盤を発展させた.申請者は異常拡散と関連する非マルコフ確率過程の代表例として,ホークス過程を扱った.また,マルコフ埋め込み法と呼ばれるテクニックを最大限まで拡張し,非マルコフ過程を取り扱う理論手法を整備した.ホークス過程について解説する.ホークス過程とは自己励起性と呼ばれる現象を取り込んだ非マルコフ過程である.自己励起性とは,過去にイベントが生じた時,そのイベントの影響で将来のイベント発生確率が高まる性質を指す.例えば,地震・SNS上の人間活動・金融市場の取引行動など,様々な現象は自己励起性を示し,ホークス過程でモデル化できる.そしてホークス過程は臨界現象を示し,異常拡散現象を引き起こすこともできる.初年度は線形ホークス過程に限って,マルコフ埋め込み法を適用することで問題を解決した.具体的には低次元非マルコフ過程に対して,必要な補助場変数を導入することで高次元のマルコフ場の理論にマップした.そしてマルコフ場の確率偏微分方程式に対応する場のマスター方程式を導出することで漸近解析を行った.本結果はPhysical Review Letters (PRL)から2020年度に出版された.次年度は本手法を非線形ホークス過程に拡張した.非線形ホークス過程は殆ど解析解が知られていない難問だが,本手法を拡張することで漸近解を導出した.本結果をまとめた論文がPRLから2021年度に出版された.以上を通じて,非マルコフ確率過程を扱う数理基盤を体系的に構築した.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020 Other
All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 3 results) Presentation (20 results) (of which Int'l Joint Research: 6 results, Invited: 4 results)
Physical Review Letters
Volume: 127 Issue: 18 Pages: 188301-188301
10.1103/physrevlett.127.188301
arXiv
Volume: -
日本物理学会誌
Volume: 76
130008049306
生体の科学
Volume: 72
Volume: 125 Issue: 13 Pages: 138301-138306
10.1103/physrevlett.125.138301
Physical Review Research
Volume: 2 Issue: 3 Pages: 033442-033469
10.1103/physrevresearch.2.033442