Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
まず、光刺激や振動による力学刺激によって線虫集団が示す外部刺激応答の大まかな性質をつかむことから始める。それらの結果を用いて集団としての外部刺激に対する応答挙動を記述する数理モデルを構築する。得られたモデルの解析から集団中の秩序構造と応答能の関連性や応答能に強く影響する因子を予測し、情報伝達速度のパラメータ依存性や刺激の強さ依存性を導く。導かれた結果と線虫集団の挙動が一致するかどうかを実験的に確かめ、線虫の集団運動の中で起こる情報伝達機構を明らかにする。最後に、得られた法則とこれまでのアクティブマター物理の知見と比較しながら、アクティブマター集団中の情報伝達に成り立つ一般則を導く。
これまでの研究では餌が少ない状態や高密度下で成長してダウアーステートになった線虫の集団運動を対象としてきた。昨年度、効率的に高密度の線虫を得る実験手法を確立したものの、この方法だとダウアーステートの線虫を得ることが困難である。そのため、得られた線虫が示す集団運動にこれまでの知見を直接用いることができない。本年度はダウアーステートと通常状態の線虫が示す集団運動との違いを明らかにすることでこれまでの知見を用いて通常状態の集団運動の研究を進める体制を整えた。そして、これまでの知見を用いて研究を進めることができる集団運動を再現よく示す実験方法を確立した。また光を使って集団運動に刺激を与えるため、光応答性を持つ株の線虫の培養を進めた。野生株と同様の方法で大量に培養することには成功したものの、培養時の増殖率が異なるため光応答性株のための実験方法を確立する必要があると判明した。これまでの観察結果から野生株と大きな違いは見られないため、野生株の集団運動と対応する実験のための条件を半年以内に見つけることができると考えている。本年度は光刺激用の装置開発も行なった。デジタルミラーデバイスを用いて刺激用の光を線虫の観察セルに照射するための光学系を組み立てている。デバイスを用いて与える予定の時空間構造を持つ光刺激を与えられることは確認済みである。まだ顕微鏡に置いた観察セルに光照射するための光学系の完成には至っていないものの、複雑な実験装置ではないため2ヶ月ほどで組み立てられると見積もっている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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