Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
モーター蛋白質を始めとする生体高分子機械は、細胞内部で最適に稼働するために、細胞内部環境の力学特性や非熱的揺らぎを積極的に利用する術を獲得したと思われる。その結果、希薄なin vitro系よりも密に詰め込まれた細胞内の混み合い環境の下で最適に稼働する。本研究では、生体高分子機械の稼働速度や効率に対して周囲媒質の”非平衡性”が及ぼす影響に着目して、この謎の解明に寄与する。細胞内の非熱的揺らぎが持つ時空間特性を実測し、その有用性を情報物理学的観点から解析し、生体高分子機械の設計原理を探求する。
生体高分子機械は、細胞内部で生成する非熱的揺らぎを利用している可能性がある。そこで、細胞や細胞モデルシステム内で発生する非熱揺らぎの時空間分布のスペクトルを求め、非熱揺らぎのうち、生体高分子のようなメソスケール自由度が有効に利用できる成分を評価することを目指している。これまで行ってきた非熱的揺らぎの強度の評価に加えて、非熱的揺らぎの統計分布と時空間相関を新たに観測対象に加えることで、非熱揺らぎが系内部のメソスケール自由度の振る舞いを活性化する”効率”を評価するためのマイクロレオロジー(メソスケールの非熱揺らぎと応答の計測)を行った。細胞内での評価が困難な生体高分子機械の機能にかわり、観測実績がある周囲媒質の非線形硬化や非平衡流動を指標として、非熱的揺らぎの“有用性”と揺らぎの時空間分布の関係性を評価することを試みた。また、上記を実行するために、以下の技術開発を行った。光捕捉を用いたマイクロレオロジー法は、非平衡媒質内部の揺らぎ・応答を物理法則の探索が可能な水準で観測する唯一の方法である。ただし、代謝活性の高い細胞質は光化学反応性を持つため、光捕捉レーザーの照射がその性質を変化させてしまう。そこで、フィードバックを用いた非侵襲的な粒子追跡を行うことで、0.5mW以下の微弱なレーザーによる細胞内観測を実現してこの問題を解決した。活発な代謝活動を長時間維持できる細胞質モデル系も作製した。また、光学的に不均質な細胞質中でマイクロレオロジー観測を行う技術を開発中であり、これらの開発技術を評価するとともに、非熱的揺らぎが保持する“情報”と“有用性”の関係性を試験的に探索した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 1 results) Presentation (30 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Invited: 5 results)
New Journal of Physics
Volume: -
Physical Review Letters
Volume: 127 Issue: 17 Pages: 178101-178101
10.1103/physrevlett.127.178101
Soft Matter
Volume: 16 Issue: 40 Pages: 9369-9382
10.1039/c9sm02362c
Biophysical Reviews
Volume: 12 Issue: 2 Pages: 503-510
10.1007/s12551-020-00684-7
Applied Sciences
Volume: 10 Issue: 14 Pages: 4970-4970
10.3390/app10144970
Volume: 12 Issue: 2 Pages: 245-247
10.1007/s12551-020-00643-2