Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究は継続した栽培・施肥管理が行われている研究圃場の土壌を対象とし、内包されているRNAウイルスの多様性や動態の把握を目指す。一般にRNAウイルスは病原体として認識されているが、多くのRNAウイルスは生物に明確な病気を引き起こすことなく、宿主生物と共存している可能性が、近年の環境ウイルス研究の発展により明らかになった。本研究では、微生物内に潜む、これまで生態系構成要素として解析されてこなかったRNAウイルスの生態中での動態を把握することで、これら共存型RNAウイルスが有する実環境中での機能の理解に繋げる。
本研究では、微生物内に潜む、これまで生態系構成要素として解析されてこなかったRNAウイルスの生態中での動態を把握することで、これら共存型RNAウイルスが有する実環境中での機能の理解を目指している。2年度目は、初年度に確立した土壌中全RNA解析手法を1年以上にわたってサンプリングした土壌試料に適用し、解析に必要なデータセットをそろえた。当該データにはRNAウイルス情報のみならず、主要な糸状菌の遺伝子発現情報、微生物組成情報が含まれており、領域内で共有し、土壌微生物動態に関する知見の抽出を試みている。また、先行して行った部分的なデータを用いた解析では、特定のグループのRNAウイルスが季節変動に伴って同調した増減を示すことを初めて見出した。この知見は従来の持続型RNAウイルス研究では想定されていなかった現象であり、持続型RNAウイルスの自然界での機能を推察するうえで極めて重要な知見となると考えられる。さらに、解析対象とした土壌試料より単離したRNAウイルス保有糸状菌のうち、ある菌株とRNAウイルスについて、その増減が夏には同調しているものの、冬になると宿主菌はほとんど増えないが、RNAウイルスは増加することを見出した。このデータから、当該RNAウイルスが宿主の低温適応に寄与している可能性が考えられた。これを実証するため、単離株とそのRNAウイルスを用いたラボ実験を進めている。具体的には、ウイルスを保持している分離株と、そこからRNAウイルスを除去した株を作出し、このウイルスの有無のみが異なる2株の性状解析を実施している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 4 results) Presentation (10 results) (of which Invited: 4 results)
Virus Evolution
Volume: 7 Issue: 2
10.1093/ve/veab095
Microbes and Environments
Volume: -
Volume: 7 Issue: 1 Pages: 1-10
10.1093/ve/veaa101
Frontiers in Microbiology
Volume: 11 Pages: 561344-561344
10.3389/fmicb.2020.561344