Budget Amount *help |
¥5,700,000 (Direct Cost: ¥5,700,000)
Fiscal Year 2010: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Research Abstract |
提案する負荷分散フレームワークTascellについて,1.性能向上の研究,2.信頼性向上の研究,3.アプリケーションを想定した性能向上と信頼性向上の研究を以下の通り実施した. 1.Tascellのワーカ間のメッセージプロトコルや,サーバ・ワーカの実装を見直すことで性能改善を行った.その結果,特に,前年度の試験実装では十分な性能が得られなかった広域分散環境において,5クラスタ(5拠点)計288コアという環境において,N女王問題全解探索を逐次Cプログラム比で202倍高速化させることに成功した.また,128ハードウェアスレッドを備える共有メモリ多コア環境においても十分な性能を得ることができた. 2.一度加わったノードが(例えば停電に備えて)離脱する仕組みは現状整備されていない.特に大規模計算においては,この機能は信頼性のために不可欠なので,機能追加の検討を行った.脱退には,不意の脱退と意図的な脱退が考えられるが,本研究においては意図的な脱退のみを対象とし,脱退を可能とするプロトコルの設計を行った. 3.前年度実施したspanning tree構築アルゴリズムに加えて,重力多体問題におけるBarnes-HutアルゴリズムにTascellを適用し,評価を行った,また,このアプリケーションを分散環境でも効率的に動作さえせるため,ブロードキャストの機能をTascellに取り入れ,試験的に実装した.その結果,共有メモリ環境においては,従来方式で実装したCilkプログラムに対して6.95倍の性能を得ることに成功した,分散環境では十分な性能を得ることができなかったが,ブロードキャスト機能については一定の効果が見られた.今後の課題としてさらなる改善に取り組むべき点を明らかにした.
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