Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本研究では、X線吸収微細構造法を駆使して、エアロゾル中の様々な元素の化学種を調べ、大気中でその元素が受ける化学的プロセスを理解することを目的として、以下の2つの研究を行った。1.大気経由の鉄の海洋への供給は、海洋での生物生産を支配する因子として注目されている。大気経由の鉄供給とは、主にエアロゾルとして鉄が供給されることを示している。その際に重要な点は、供給されたエアロゾル中で鉄が溶解しやすい化学種として存在しているかどうかであるが、これまで鉄の化学種を直接決定した例が少なく、その溶解過程には不明な点が多かった。本研究では、放射光を用いたX線吸収微細構造法(XAFS法)を適用することで、黄砂粒子が長距離輸送される途上で黄砂中の鉄化学種がイライトやクロライトなどの粘土鉱物から大気中で酸化を受けフェリハイドライトに変化することを明らかにした。またその場合、溶解実験から鉄の溶解度が増加することが分かった。このことは、人為的な影響により黄砂からの鉄の溶解性が増加することを示唆している。2.シュウ酸などのジカルボン酸は、大気中の水分を吸収し雲の核となって太陽光を反射するため、地球冷却効果を持つことが指摘されている。我々はカルシウムや亜鉛のXAFSスペクトルを詳細に解析することにより、エアロゾル中のこれらの金属イオンの化学種としてシュウ酸錯体が存在することを示した。また全シュウ酸化学種に占めるこのシュウ酸錯体の割合は、少なくとも50%以上を越えていることが分かった。シュウ酸が金属錯体となった場合、吸湿性が著しく低下することが予想されるため、シュウ酸はこれまでほど雲核の形成やそれに伴う地球寒冷化には寄与しないことが予想される。
All 2011 2010 2009
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