Budget Amount *help |
¥11,400,000 (Direct Cost: ¥11,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥5,700,000 (Direct Cost: ¥5,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥5,700,000 (Direct Cost: ¥5,700,000)
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Research Abstract |
300GHzの高出力電磁波を用い焼結温度を変えてジルコニアセラミックスの焼結を行った,焼結温度の異なる試料に対して,それぞれ光学顕微鏡により組織観察を行ない,空孔の試料内部の分布について焼結温度依存性を調べた.また,マイクロビッカース強度の空間分布の測定を行った.中間的な焼結温度に於いて,空孔の消滅が表面ではなく,試料表面から400ミクロンほど内部から始まり,やがて焼結温度の上昇と共に均一に焼結されていく様子が明らかになった.さらにマイクロビッカース強度による硬さ分布の焼結温度依存性も,空孔の消滅の様子とほぼ同じ形で進行することがわかった,これらの300GHz電磁波加熱による焼結の特異な空間分布を説明するために,電磁波の周波数と浸透長を見積もり,その吸収の様子を計算したところ,それにより組織の空間分布がほぼ説明できることを示した.次に,熱的な昇温プロセスは同じであるが,照射する電磁波の時間や出力を変化することで,電磁波加熱の特徴を計測することが出来るように,装置をパルス照射に対応できるように改良を行った.電磁波の照射時間(パルス長)と緻密化の進行には数十msまでは正の相関があることを見出した。また,パルス長をさらに長くしていくと緻密化は逆に減少し,ある緻密化が最大となる特性時間があることをはじめて見出した.これらの結果より,電磁波加熱がコヒーレントなエネルギーを分子に直接与える点で,従来のランダムな振動を分子に与える,熱エネルギーと異なり,より高級な(エントロピーの小さな)エネルギーである電磁波エネルギーによる加熱の特徴がとらえられたと考えられる,また加熱の周期性に緻密化が関係するという新しい知見を得た.これはコヒーレントなエネルギーの注入が可能な電磁波加熱に於いて変調という形で新しい情報(秩序)を材料に負荷でき,そのことにより物性が影響を受けたと考えられる.
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