Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
マグヘマイト(γ-Fe2O3)やマグネタイト(Fe3O4)のようなスピネルフェライト単結晶薄膜をスピントロニクス材料に展開するための基礎的な研究を行った。前年度の結果ではγ-Fe2O3薄膜は、その初期成長では化学量論比に近い組成で成長するものの、その後、Fe2+が増加してくるため、絶縁特性が劣化し、スピンフィルタ層として機能しないことが示唆されていた。そこで本年度は、さらに高い絶縁性が得られるような製膜方法の検討し、TiN/γ-Fe2O3/MgO/Fe/Auの積層構造を有するスピンフィルタ素子の作製を行った。γ-Fe2O3の成膜後にオゾン雰囲気下で熱処理を行うことで、トンネル特性は向上し、室温で-2%程度のMRが得られた。第一原理計算により得られたγ-Fe2O3の電子状態は、γ-Fe2O3をトンネル障壁とした際に少数スピン電子のトンネル確率が支配的であることを示しており、理論的に予想された磁気抵抗効果の符号と我々の実験結果とが一致した。また、Fe3O4/Feはその界面において反強磁性的に結合することが知られており、この磁化配列を利用してTiN/Fe3O4/Fe/AuのCPP配置でのスピンバルブ型磁気抵抗素子を作製した。その結果、室温では大きなMRは観測されなかったが、Fe3O4の金属絶縁体転移温度以下では、数十%の磁気抵抗効果があらわれた。Fe3O4中でのバンドギャップの生成に起因するスピン依存したショットキー接合が、MRの起源であると考えられるが、詳細については、今後の検討課題である。
All 2011 2010 2009
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results)
Journal of Applied Physics
Volume: 109
JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS
Volume: 49