Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本研究では遷移金属触媒反応など最新の有機合成手法を活用し、フォトクロミック色素として有用なジアリールエテンの新しい合成法を開発することを目的とした。本年度は、単純なジアリールエテンをC-H結合切断反応を経由する直裁的な手法で変換し、位置選択的に修飾されたジアリールエテン類を効率よく合成する手法の開発を行った。近年発展の著しいC-H修飾反応によるチオフェン環の直接アリール化に注目した。種々反応条件を検討したところ、触媒量の塩化パラジウムとビピリジル配位子の存在下、ジチエニルジアリールエテンにp-ヨードアニソールを作用させるとチエニル基の2位で直接的アリール化が高い位置選択性で進行することを見いだした。また、用いるヨウ化アリールの当量数を減じることにより、2つのチエニル基の片方だけをアリール化することにも成功した。これにより、様々なアリール基をチオフェンのα位に効率的に導入できることが明らかになった。この手法を用いれば、入手容易なジアリールエテンから簡便にジアリールエテンライブラリーを構築することができる。また、前年度に開発したクロスカップリングによるジアリールエテン合成法を用いて、従来法では得られないジアリールエテンの合成を試みた。種々検討した結果、ホウ素化ポルフィリンとジクロロシクロペンテンとの鈴木-宮浦カップリング反応により、ジポルフィリニルエテンを合成できた。生成物のX線構造解析にも成功した。この結果は、クロスカップリングによるジアリールエテン合成の新しい可能性を示すものである。
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Chem.Eur.J.
Volume: 16 Pages: 13320-13324
Chem.Asian J. 5
Pages: 764-767
http://www.apchem.nagoya-u.ac.jp/hshino/sub/research/research.html
http://kenpro.mynu.jp:8001/Profiles/0060/0006050/profile.html