Budget Amount *help |
¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
Fiscal Year 2010: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
フォトクロミック分子を担持する構造体として,照射した光が材料全体へ到達させることができるメソポーラスシリカ薄膜を選択し,ジアリールエテンを細孔に導入した薄膜の合成を行った.溶液として水を用いることなくTEOS,HCl,THFを適切な混合比で加熱撹拌することで調製したゾルゲル溶液を作成し,次にBrij-56,ジアリールエテン,THFの混合溶液を調製したものと合わせてスライドガラスに滴下後,乾燥させることで薄膜を作製した.薄膜の細孔を示すd値は5.4nmであり,分子を導入固定する上で適切なサイズの多孔質になることが分かった.この得られた薄膜に対して紫外光照射を行ったときに生成する閉環体の可視部の吸収スペクトルの極大吸収は,溶液中のスペクトルよりも長波長シフトすることが確認された.これは溶媒効果ではなく細孔内における分子の分散状態に由来している現象であることを明らかにした。次に,光駆動部位となる縮環チオフェンをユニットに含んだ新規ジアリールエテンの合成を行った.Thieno[3,2-b】thiopheneから分子拡張した直線型ユニットをペルフルオロシクロペンテンへ導入した分子を7段階で合成した.初期設計分子ではπ-π相互作用による難溶性が原因となり分子拡張が困難となっていたが,アルキル鎖の導入やペルフルオロシクロペンテンを導入する順序を変更することで,溶解性を確保した段階を経て目的とする構造を有するジアリールエテンまで合成することに成功した.得られた分子は紫外光によって閉環反応が進行して,十分な変換率を示した,また可視光照射では速やかに開環反応が進行することを明らかにした. これらの成果により,平成22年度は日本高専学会年会・日本化学会西日本大会において計4件のポスター賞と化学工学会学生講演会での優秀賞を受賞した.
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