Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
熱帯熱マラリア原虫の免疫回避に関わる中心分子は感染赤血球表面抗原であるvar遺伝子産物である。原虫は59個のvar遺伝子を持ち、1個のvar遺伝子が転写されると排他的に残り58個の転写を全て抑制する(相互排他的転写制御)。これにより、原虫は宿主免疫による攻撃を受けると、var遺伝子の転写を抗原性が異なる別のvar遺伝子へ切り替え、免疫を回避している。本研究では独自に作製したマラリア原虫人工染色体を用い、相互排他的転写制御を実験モデル化し、その解明の糸口を得ることを試みた。まず、bir遺伝子の転写制御機構へのクロマチンの修飾の関与を検討するためにbir遺伝子が存在するsubtelomeric regionのhistone H3の修飾についてChIP-seq法により調べた。その結果、テロメア末端からsubtelomeric region含む領域中のhistone H3の第9番Lys残基(H3K9)が高度にトリメチル化されていることが明らかとなり、bir遺伝子の転写はH3K9の修飾によるヘテロクロマチン形成によって抑制されている可能性が示唆された。次に実験に使用する人工染色体のテロメアの機能について検討した結果、ヘテロクロマチン形成を伴う末端長の制御が示され、人工染色体のテロメア近傍も実際の染色体のテロメアと同様にクロマチンの修飾を受けることが示唆された。続いて特定のbir遺伝子が優位に発現していることをクローン化した原虫のマイクロアレイ解析によって検討した。その結果、複数のbir遺伝子の内、数種のbir遺伝子が優位に発現していることを示唆する結果を得た。さらに、優位に発現していたbir遺伝子は単一の染色体末端止に存在しており、染色体末端単位でその発現が制御されている可能性が示唆された。さらにマイクロアレイで検出した優位に発現しているbir遺伝子の5'-および3'-UTRを人工染色体に組み込み、その転写活性をGFPの発現を指標に検討した結果、両者を組込んだ人工染色体を持つ原虫においてGFPの発現に差が見られた。この結果より、bir遺伝子の相互排他的転写制御には5'-および3'-UTRが関与することが推察された。
All 2011 2010 2009
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (3 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results) (of which Overseas: 1 results)
Cell, host & microbe Vol 7(掲載確定)
Mol Microbiol. Vol 71
Pages: 1402-1414
Mol Microbiol. Vol 75
Pages: 854-863