Budget Amount *help |
¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 2010: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Research Abstract |
百日咳菌は長期間にわたる痙攣性咳嗽を惹起するが,その感染機構については未だ不明な部分が多い。百日咳菌のモデル菌株である気管支敗血症菌を用いた実験から,本菌の気道上皮への長期定着はIII型分泌装置(以下T3SS)に依存した現象であることが報告されているが,感染に関わる病原因子は不明であった。本研究はT3SSを介して宿主に移行するエフェクターの機能解析を行なうことで,ボルデテラ属細菌の長期定着機構を分子レベルで明らかにすることを目的としている。 当該プロジェクトにて,BopNエフェクターは,1.IL-10産生を正に制御するエフェクターであること,2,肺内のCD11c+細胞がIL-10の産生に関与することを明らかにしている。これらのことから気管支敗血症菌は樹状細胞を利用してIL-10産生を誘導することが推察された。しかしながら樹状細胞は貪食能を有しており,通常の細菌は殺菌排除されてしまう。気管支敗血症菌の感染における挙動を解析するために,樹状細胞の培養細胞であるDC2.4を用いて感染実験を行った。興味深いことに,気管支敗血症菌野生株では樹状細胞の貪食作用から積極的に回避していた。一方,BopC欠損株では樹状細胞に容易に貪食されることから,BopCは樹状細胞の貪食作用から回避するためのエフェクターであることを明らかにした。以上のことからボルデテラ属細菌では,BopCの機能で貪食作用から積極的に回避しつつ,その一方でBopNを細胞外から効率的に注入することで,貪食細胞からのIL-10産生を積極的に促すことが示唆された。
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