Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となる一本鎖RNAウイルスであり、現在HIVの感染者は全世界で3千万人を超えている。多剤併用療法の出現により患者の生命予後は改善したものの、薬剤耐性ウイルスの出現や薬剤の持続投与による重篤な副作用など解決すべき問題は多く残されている。これらを解決するにはHIV-1の複製機構およびエイズ発症機序を詳細に理解し、新規予防法や治療法の開発に向けた対策が望まれる。そのための戦略として、宿主因子によるHIV-1タンパク質の翻訳後修飾制御機構は、ウイルス複製制御のみならず、病原性への影響に重要な過程であると考えられている。実際、多くのウイルスタンパク質にはリン酸化部位が存在するにも関わらず、これらのリン酸化に関わる宿主因子やその意義を論じた報告は少ない。今回我々はコムギ無細胞タンパク質合成系とアルファスクリーン技術を組み合わせたハイスループットで高感度の検出系を用い、HIV Vpuタンパク質の脱リン酸化を促進し、ウイルス複製を制御しうる宿主因子としてSCYL2を同定した。SCYL2はI型インターフェロンにより発現が増強し、Tetherin/BST-2依存的な抗HIV活性発現において中心的な役割を果たすことを見出した。さらに、我々はSCYL2がPP2AをVpuタンパク質にリクルートるすことでVpuの脱リン酸化を促進することを示した。実際に、細胞にSCYL2を強制発現させると、PP2AとVpuの共局在が認められたことから、SCYL2はPP2AをVpuにリクルートすることでVpuの脱リン酸化を誘導することが示唆された。これらの結果より、SCYL2は有力な内在性抗HIV因子(intrinsic restriction factors)であることが示唆された。
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All Journal Article (18 results) (of which Peer Reviewed: 18 results) Presentation (15 results)
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Leukemia (印刷中)