Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
バクテリア・べん毛モーターは、細胞内に流入するイオン流により、回転運動を生み出すタンパク質分子機械である。菌体は、この回転器官を用いて、細胞外に長く伸びたべん毛繊維をスクリューのように回転させることで推進力を発生し、遊泳運動を行っている。本研究課題では、タンパク質の構造と機能を変調できる高圧力技術を利用して、べん毛モーターの高速回転運動の変調と検出により、回転機構を明らかにする研究に取り組んだ。平成21年度の研究により、高圧力下では、細胞内へのH+の流入速度が低下することが判明した。そこで、平成22年度では、Na+の流入により駆動するキメラべん毛モーターを用いて、細胞外のNa+濃度を変化させながら、回転計測を行った。べん毛繊維にポリスチレンビーズを回転の指標として吸着させ、ハイスピードカメラを搭載した高圧力顕微鏡でビーズの高速回転運動を観察した。常圧力下では、モーターの回転速度は、細胞外のNa+濃度と共に増加し、85mMNa+では、600Hzに達した(0.4umビーズ)。高圧力下では、全てのNa+濃度下で、圧力の増加共に回転速度は指数関数的に減少した。以上の結果は、H+駆動型べん毛モーターから得られた実験結果と一致するため、高圧力はNa+の流入速度を低下させていることが明らかになった。次に、蛍光指示薬を用いて、高圧力下にある細胞内Na+濃度を調べたところ、大きな変化はなかった。したがって、高圧力をかけることで、細胞外にあるNa+がモーターへの結合反応が阻害されることで、回転速度が低下すると考えられる。
All 2011 2010 2009
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (19 results)
2011 Biophysical Society Meeting Abstracts.Biophysical Journal
Volume: 100
BLAST XI MEETING ABSTRUCT
Pages: 38-38
ANNALS OF THE NEW YORK ACADEMY OF SCIENCES 1189
Pages: 86-90