Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
マウス嗅上皮の腹側部には、嗅覚受容体の代わりに、炭酸脱水酵素Car2をセンサーとして発現する特殊な嗅細胞サブタイプ(Car2細胞と略称)が存在し、大気中のCO2を感知している。通常の嗅細胞が、匂い情報をcAMPシグナルへと変換するのに対して、Car2細胞では、Car2により生成された重炭酸イオンが受容体型グアニル酸シクラーゼGC-DのcGMP経路を活性化する。また、GC-D自身が尿に含まれるペプチド(guanylin,uroguanylin)のレセプターとして働くことも報告されている。本研究において、マウス嗅上皮から嗅細胞を単離し、CO_2への応答性をカルシウムイメージング法により解析した結果、嗅上皮には既知のCar2細胞以外にも、Car2陰性でCO_2への応答性を示す新規の嗅細胞が存在することを見出した。また、新規のCO_2センサー細胞は、CO_2のみに応答する細胞と、CO_2とpHに応答する細胞に大別されることも判明した。更に、これらCar2陰性のCO_2センサー細胞の約半数は、炭酸脱水酵素の阻害剤であるAcetazolamide処理によりCO_2への応答性が阻害されたことから、Car2以外の炭酸脱水酵素をCO_2センサーとして持つと推測された。そこで、嗅上皮における炭酸脱水酵素の発現を検討したところ、Car7が嗅細胞の一部で発現していることを見出した。本研究により、マウスの嗅上皮には、複数種の異なるCO_2センサー細胞が存在することが明らかにされた。マウスを取り巻く自然環境には、餌、巣穴、仲間、捕食者などの様々なCO_2の発生源が存在し、その濃度も異なる。従って、マウスは、CO_2への応答性の異なる複数種のセンサー細胞を駆使することにより、様々な状況下におけるCO_2濃度を感知し、行動している可能性が示唆される。
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European Journal of Neuroscience
Volume: 33 Pages: 205-213
Cell
Volume: 141 Pages: 1056-1067
Molecular and Cellular Neuroscience
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http://www.naramed-u.ac.jp/~amrc-lab1/