Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
テラヘルツ時間領域分光法によりSiの間接遷移型励起子の高密度励起効果を調べた。まず、フェムト秒光パルス照射によりバンド間励起された自由電子と正孔からどのような時間スケールで励起子が形成され、さらにそれが格子と熱平衡状態に至るかを調べた。約3THz(12meV)にある励起子1s-2p遷移をプローブとして、励起子形成ダイナミクスを詳細に調べた結果、約400~600psで励起子が形成されることがわかった。この有限の励起子形成時間は、自由キャリアの冷却過程を反映しているものと考え、光学フォノン緩和および音響フォノン緩和を仮定し解析を行った。数値シミュレーションは、観測された光励起後の自由キャリアの温度変化(冷却過程)をよく再現し、光励起後200ps以降の緩和機構として音響フォノン緩和が支配的であることがわかった。また2ns後には励起子系は格子系とほぼ熱平衡状態にあることと結論した。次に、高密度領域における励起子の安定性を明らかにするために、励起子1s-2p遷移エネルギーが電子正孔密度とともにどのように変化するかを調べた。その結果、励起子1s-2p遷移エネルギーは電子正孔密度によらずほぼ一定の位置にとどまること、さらに、乱雑位相近似から予想される励起子モット転移(正確にはクロスオーバー)濃度を越えても励起子1s-2p遷移の位置にピーク構造が残存することがわかった。これは、従来の解釈、即ち、励起子束縛エネルギーが密度の増加とともに連続的に減少し金属相へと移行するという励起子モット転移(クロスオーバー)の描像と異なる結果であった。本研究により、電子正孔系の絶縁体金属転移(励起子モット転移)における動的電子相関をテラヘルツ分光法によりとらえる手法が開拓された。
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Physica Status Solidi(c)
Volume: 8 Pages: 1153-1156
Phys.Rev.B
Volume: 83