ミクロの揺らぎによって引き起こされるオレイン酸螺旋構造体の自発的マクロ運動
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 健太郎 The University of Tokyo, 総合文化研究科, 助教 (60512324)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
Fiscal Year 2010: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 両親媒性分子 / 脂質二分子膜 / 自発運動 / らせん / 放射光 |
Research Abstract |
限られたpH条件の緩衝液中で形成された、オレイン酸/オレイン酸ナトリウムが自己集合化により形成する螺旋構造体は、自発的まき直しダイナミクスを示す。このまき直しダイナミクスの起因は、オレイン酸からなる多層の二分子膜構造の間で、親水部体積の異なるオレイン酸とオレートの組成のゆらぎが引き起こす、ひずみの伝播によると推定されてきた。しかしながら、より精密なメカニズムを解明するには、その内部構造の理解が不可欠である。そこで、高エネルギー加速器研究機構において、マイクロビームの放射光を用い、その内部構造を探索した。測定に用いたセルホルダーの影響により、螺旋構造体そのものの測定は行えなかったものの、螺旋に転移するpH前後で出現する油滴状構造体について、広角散乱パターンを得ることに成功した。この結果から、螺旋が出現するpH近傍において、オレイン酸が、二分子膜構造のような周期的な高次構造をもった分子集合体を形成することが明確となった。 さらに、形状や性質の観測に容易な、より大きな螺旋構造体の形成を目的に、種々の緩衝溶液中における螺旋形成についての研究を行った。従来用いてきた、カリウムあるいはナトリウムのみを対イオンとする緩衝溶液で調整した場合は、100マイクロメートル前後で螺旋の成長は止まるが、カリウムとナトリウムを併せ持つ緩衝溶液中では、数百マイクロメートルの大きさの螺旋状構造体が、頻度良く出現した。ナノサイズの分子が整列することで形成される螺旋構造体に於いて、ほぼ肉眼サイズとも言える構造体が形成されることは、驚くべきことである。このような螺旋構造体に対し、ピペットにより力学的な刺激を与えたところ、十分な弾性を示し、力学的に強固であることが確認された。イオン半径が若干異なる複数の対イオン存在することが、膜構造内部のひずみの解消に寄与し、このような長大な構造体の形成を可能にしているものと推測している。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)