Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
まず、「生体膜の熱揺らぎによる薬物輸送」に関して、前年度に得られたヒトHL60細胞に対する抗がん剤・5-フルオロウラシル(5FU)の取り込みに関する速度論的モデルを検証するために、フッ素原子を含む膜透過性の蛍光色素pentafluorobenzenesulfonyl-difluorofluorescein(BES-H_2O_2-Ac)のHL60細胞への取り込みを、^<19>F NMR時間分解計測と蛍光で同時にモニターした。5FUと同様、BES-H_2O_2-Acの^<19>F NMRシグナルの変化を分単位の時間分解能で計測することができた。今後、NMRと蛍光の両面から、膜透過の速度論的モデルの詳細を確認する予定である。また、「モデル膜への薬物輸送の動的多核NMR解析」では、高分解能溶液NMRとパルス磁場勾配(PFG)法を組み合わせて、揺らぎにともなう膜中の薬物や脂質分子の運動をin situで観測し定量化する方法を独自に開発した。生体膜モデルとして卵黄レシチンの一枚膜ベシクル(直径100nm)を用いて、前年度に行った比較的親水性の強い5FUに引き続き、本年度は新たに、水への溶解性が低い内分泌撹乱物質ビスフェノールAのフッ素化物(CF_3)_2C(C_6H_4OH)_2について^<19>F NMRによる解析を、神経ペプチド・エンケファリンについて^1H NMRによる解析を行い、揺らぎによる「薬物の膜への結合量」、膜内の拡散運動」、「膜への結合と解離のキネティクス」を明らかにした。多核NMRを用いて、通常の一次元測定とPFG NMR測定を使い分けることにより、さまざまな速さで膜に結合・解離する薬物の運動をin situで定量化することが可能となった。今後、種々の生理活性ペプチドの膜へのデリバリーや膜タンパク質の動態のin situ解析など、興味深い系への適用が期待される。
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膜
Volume: 36 Pages: 1-1
10029601561
Volume: 36 Pages: 9-15
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Chem.Phys.Lett. 474
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膜 34
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10026335936
分子シミュレーション研究会会誌「アンサンブル」 11
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http://www.himeji-du.ac.jp/faculty/dp_pharm/pharm/ph/