Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ケイ素-ケイ素三重結合化合物ジシリンは特異なπ空間の創出と反応場を形成し、炭素アセチレンに見られない反応性を示すことを明らかにした。本年度は、アルキンの高周期類縁体であるケイ素-ケイ素三重結合化合物ジシリンの合成法を改良し、素反応を行うのに十分なグラムオーダーでの合成法を確立することができた。また、反応性の研究成果として、三重結合ケイ素化合物ジシリンと有機小分子との反応を検討し、新たなπ電子系有機ケイ素化合物への変換反応の開発とこれら新物質の構造、物性の解明を行い、炭素π電子系に見られない反応性を明らかにした。特に、金属触媒を用いないでジシリンのπ結合に種々の有機小分子が付加反応をすることを明らかにした。ジシリンに対してtert-ブチルイソシアニドを作用させることで、低温下では二分子付加体であるビス(シラケテンイミン)が生成することを低温NMR及びX線結晶構造解析から明らかにした。さらに、ビス(シラケテンイミン)の熱分解反応によって、これまでに合成例のなかった強力な電子求引基であるシアノ基が置換した1,2-ジシアノジシレンの合成に成功・構造解析に成功した。また、ジシリンと種々の二級アミン、ヒドロボラン等との反応から、N-H、B-H結合がジシリンの三重結合に付加したアミノ置換及びボリル置換ジシレンの合成に成功した。さらに、各種NMR、X線結晶構造解析によりアミノ基・ボリル基上の置換基の嵩高さに応じて、アミノ基・ボリル基平面とケイ素-ケイ素二重結合角度が変化し、窒素上の孤立電子対またはホウ素上のからの2p軌道との共役の程度が変化することを明らかにした。これらの結果はケイ素-ケイ素三重結合の反応性の化学及びケイ素不飽和多重結合における置換基の影響について新しい知見を与えた。昨年度の研究を継続して、ケイ素-ケイ素三重結合化合物ジシリンとルイス塩基との錯形成反応も検討した。ジシリンとN-ヘテロ環カルベン(NHC)を反応させると、NHCの孤立電子対が三重結合ケイ素に配位し、1:1錯体を形成した。ジシリン-NHC錯体は、ケイ素-ケイ素二重結合を有し片方のケイ素原子上に孤立電子対が局在化したジシレニドと等電子構造であることを明らかにした。
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Journal of the American Chemical Society
Volume: 132 Pages: 930-931
Journal of Physical Organic Chemistry
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New Journal of Chemistry
Volume: 34 Pages: 1544-1546
Volume: 132 Pages: 14061-14063
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Journal of Organometallic Chemistry
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Journal of the American Chemical Society 132
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http://nao.chem.tsukuba.ac.jp/sekiguch/index.html