Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
当初の予定通り、「海底下の大河」プロジェクトで実施された沖縄トラフの伊是名熱水域における研究航海(KT-10-23)に参加し、海底表層ピストンコア堆積物の脂質バイオマーカーの同位体組成研究を行った。試料は泥質堆積物で、表層から深度135cmまでの6つの深度について分析し、有機炭素量は最大1.9%まで含まれていた。炭化水素画分ではジノルポパンとジプロプテンなどの3つのC_<30>ホペンが多く検出されたのに対して、n-アルカンなどの飽和直鎖炭化水素は全く検出されなかった。また、これらホパノイドの炭素同位体比をガスクロマトグラフ燃焼同位体比質量分析計によって測定したところ、-49~-45%。に分布し、主に化学合成バクテリア起源であることがわかった。さらに、脂肪酸画分ではC_<16>飽和脂肪酸やC_<32>ホパン酸が存在した。一方で、アルコール画分をヨウ化水素酸で分解したものについては、C_<40>イソプレノイド炭化水素などは検出されず、グリセロールジアルキルグリセロールテトラエーテル(GDGTs)やアーキオールなどのイソプレノイドエーテル脂質は存在せず、古細菌からの寄与はほとんどないことがわかった。これらの結果は伊是名熱水域の表層においては化学合成バクテリアが主に基礎生物活動を担っていることを示す。航海中に堆積物コアの間隙水で測定された硫酸塩やアンモニアの濃度が高かったことから、硫酸イオンやアンモニアイオンを使って代謝を行うバクテリア(アンモニア酸化細菌や硫酸還元菌)が重要な役割を果たしていると考えられる。
All 2011 2010
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (1 results)
Organic Geochemistry
Volume: 42 Pages: 166-172
Volume: 41 Pages: 398-403
Marine Geology
Volume: 275 Pages: 166-177
Organic Geochemistry 41(印刷中)