Budget Amount *help |
¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2010: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Research Abstract |
本研究は,BEDT-TTF系ダイマーモット型分子性導体に対してエックス線照射により人為的に制御された局所的分子欠陥を導入し,これまでこの系で確立されてきた分子配列,バンド幅制御による電子状態制御に加えて"乱れ"をパラメータに加えた電子相の変調操作を試みることである.本年度は,これらの乱れ制御,導入という独自の研究に加えて,新学術領域研究内における共同研究を積極的に行い,特に光誘起相転移研究グループ(岩井伸一郎教授,東北大理)との連携を強化した. (1)効率的なエックス線照射実験と照射による分子欠陥の定量評価 複数試料へのエックス線照射による実験効率化のための試料保持部の改良を行なった.また,照射により導入される分子欠陥の定量,定性的評価を行なうために分子科学研究所中村准教授と共同で照射試料のESR実験を行い,照射欠陥の量,生成部位などに関する知見を得ることが出来た. (2)輸送,磁性,赤外反射測定による分子欠陥の評価とモット転移との相関の評価 昨年度に引き続き系統的なエックス線照射量に対する直流電気抵抗,光学伝導度の測定を,κ-(BEDT-TTF)_2X系に対して行なった.電子相関の強度に対する乱れの効果の現れ方を解明し,乱れを変数として加えたモット転移近傍の電子相図を構築した.その結果,モット転移に対して電子相間が強くなるほど乱れにより局在絶縁体的になりやすいことがわかった. (3)ダイマー内電荷自由度と三角格子フラストレーションによる電子誘電性昨年度に見出したスピン液体系として研究されているα-(BEDT-TTF)_2Cu_2(CN)_3の電子誘電性発現について低周波数誘電率測定を行うことで,早稲田大学寺崎氏(現名古屋大学)と共同で新たな誘電機構の提案を行なった.本提案は理論の興味を引き,いくつかの理論モデルが提案された.
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