Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究課題では、フィードバックの有無や、プロモーターの強さといった、遺伝子発現反応の分子的詳細に依存しない、遺伝子発現ゆらぎの一般的な現象論を構築すること、また、その現象論を実験的に検証することを目指した。本研究により以下の成果を上げた。1.定常成長状態を実現するマイクロ流体デバイスの構築一般的な細胞タイムラプス計測では、細胞周囲の環境が、時間とともに変化する。そのため、細胞のさまざまな量の集団分布を測ると、これは時間的に定常にならない。この問題を解決するため、ガラス基板上に細長い細胞サイズの溝を作り、その中に細胞を閉じ込め、培養液の灌流システムと組み合わせることで、細胞集団の定常性を実現する計測系を構築した。これにより、諸処の理論的仮説を、定常状態という理論的に扱いやすい条件下で検証することを可能にした。2.遺伝子発現量の推移確率の一般的表式の提唱と実験検証遺伝子発現量の分布は、発現量や制御様式によらず一般的にガンマ分布に従うことが知られている。この知見をスタートとして、ガンマ分布を定常にする推移確率の数学的表式を構成した。この表式を一意に定めるのに必要な情報は、定常状態での統計的な性質から得られ、分子的な詳細に依存しない。この表式が様々な分子的条件下で起こる遺伝子発現の推移を一般的に記述できることを、数値シミュレーションと実験により確認した。これにより、内部の分子反応のパラメーターを決めることなしに、さらに不確定要因の影響を考えることなしに、遺伝子発現量の変動を記述できる表式を手に入れたことになる。
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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/wakamoto-lab/index_j.html