哺乳類の匂いに対する多様な情動を制御する神経回路の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
21115505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
小早川 高 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経機能学部門, 研究員 (60466802)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥11,700,000 (Direct Cost: ¥9,000,000、Indirect Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2010: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2009: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | 恐怖 / 嗅覚受容体 / 匂い分子 / 恐怖臭 / 神経回路の改変 / 情動の制御 / 行動の制御 |
Research Abstract |
昨年度までに、恐怖反応を誘発する糸球クラスターを活性化する匂い分子をスクリーニングすることで、マウスに対して様々な頻度で恐怖反応の一種であるfreezing行動を引き起こす匂い分子を同定することに成功していた。本年度は当初の計画通りに、恐怖反応を誘発する匂い分子のスクリーニングを更に進め、これまでに報告されていたキツネの分泌物由来の匂い分子に比較して、より強い恐怖誘発活性を持つ人工物由来の匂い分子群「恐怖臭」を14種類同定した。「恐怖臭」と類似した化学構造を持つが恐怖反応を誘発しないコントロールとなる匂い分子「非恐怖臭」を多数同定した。同一の化学組成を持つ匂い分子であっても立体構造が異なると恐怖誘発活性が大きく異なることから、匂い分子の持つ物理化学的な性質ではなく、立体構造によって恐怖誘発活性が定量的に規定されている可能性が明らかになった。匂い分子の立体構造は嗅覚受容体との結合特異性を規定すると考えられることから、匂い分子と嗅覚受容体との結合特異性の総和によって恐怖情動の誘発活性が規定されている可能性が考えられる。この可能性を検証するために、「恐怖臭」に特異的に結合するが「非恐怖臭」には結合しない嗅覚受容体のスクリーニングを行った。マウスの嗅覚受容体は1000種類存在し、クラスI型受容体を除くと、およそ200種類のサブファミリーに分類できる。各サブファミリーから代表する嗅覚受容体を少なくとも1種類クローニングし、Hana cellを用いた実験系で匂い分子に対する結合特異性を解析した。その結果、少数の嗅覚受容体が「恐怖臭」に特異的に結合する活性を持つことが明らかになった。この実験結果は、嗅覚受容体の特異性から匂い分子に対するヒトや動物の応答を推定する理論を構築する第一歩となるという意味で極めて重要である。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)