Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、赤方偏移が2程度に近い銀河の金属量(太陽系近傍の0.2倍程度)を有しており、太陽系からの距離60 kpcに存在する小マゼラン雲に着目する。最新鋭電波望遠鏡であるALMAを用いることにより0.1 pcより高い解像度で観測し、低金属量環境下の紐状(フィラメント状)分子雲の有無およびその性質を初めて観測的に明らかにすることを目的とする。フィラメント物理量が銀河系や大マゼラン雲とどのように共通しているか、あるいは異なっているかを調べることにより、現在宇宙の星形成理論の延長線上として遠方銀河(初期宇宙)の星形成が理解可能かどうかを検証する。
銀河系における(特に太陽系近傍)分子雲から原始星がどのように形成されるかという問題については近年の観測技術の発達によりその原始星形成極初期を除いては概ね理解されるようになった。星間ガスの大局的な流れ、あるいはガス雲同士の衝突により局所的に0.1 pc程度の幅を持つ高密度な紐状分子雲が形成され、その後重力の力により分裂/収縮し、原始星形成に至るという描像である。 一方で遠方銀河の観測に目を向けると、現在の銀河系では見られないような高い効率で星が形成されており、少なくとも赤方偏移2程度までは 増加傾向である。遠方銀河の観測は現在/将来の観測技術を持ってしても個々の星形成領域は分解できない。そこで本研究では、太陽系から最も近い低金属量銀河である小マゼラン雲を観測することにより、そこに存在する分子雲を観測し、内部でも星形成活動を理解する。一つの特筆すべき成果は、原始星が観測可能な銀河においては最も重元素量が少ない小マゼラン雲において、ALMA望遠鏡の観測で星の産声に相当するガス流(アウトフロー)を初めて検出したことである。そのガス流の物理量(運動量など)を定量すると、10^4太陽光度を持つ原始星においては、銀河系の大質量星原始星と酷似していた。これは、星の誕生過程は過去の宇宙においてもアウトフローを駆動する過程は現在と定性的には普遍であったことを示すものであり(Tokuda et al. 2022, ApJL, 936, L6)、世界に先駆けて小マゼラン雲観測の重要性を訴えた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (6 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 4 results) Presentation (11 results)
The Astrophysical Journal
Volume: 945 Issue: 1 Pages: 63-63
10.3847/1538-4357/acb930
The Astrophysical Journal Letters
Volume: 936 Issue: 1 Pages: L6-L6
10.3847/2041-8213/ac81c1
The Astronomical Journal
Volume: 164 Issue: 2 Pages: 64-64
10.3847/1538-3881/ac7aa1
Volume: 932 Issue: 1 Pages: 47-47
10.3847/1538-4357/ac723a
Volume: 922 Issue: 2 Pages: 171-186
10.3847/1538-4357/ac1ff4