Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
我々の太陽系は天の川銀河のどこで誕生し、どのように軌道変化して現在の位置までたどり着いたのか。この問いに答えるには、銀河内での星団の離散過程を理解する必要がある。天の川銀河の渦状腕構造や棒状構造の動的変化は、星の大局的な軌道移動に影響を与え得ることが示唆されている。このような「動的非軸対称構造」は、 太陽系母星団などの軌道移動や破壊・離散過程にも大きな影響を与えるはずである。そこで本研究では、「動的非軸対称構造」における太陽系の軌道移動と太陽系母星団の破壊・離散過程のN体シミュレーションを行い、兄弟星の位相空間分布の理論予測を行い、観測研究に対して理論的示唆を与えることを目指す。
本研究計画は、申請者独自の天の川銀河の非軸対称構造の動力学モデルに基づき、太陽系及び太陽系母星団の数値シミュレーションを行うことで、太陽系の起源 を天の川銀河進化の枠組みで理解することである。この計画のために以下の研究に取り組んだ。(1) 共同研究者の開発した化学進化ライブラリを用いて、太陽系の主要元素 H, C, O, Mg, Si, Feの銀河化学進化計算を行い、太陽系誕生半径(約5kpc)に対して制限を与えた。さらに、化学量論モデルを適用して、惑星系材料物質の銀河円盤内分布の時間変化を明らかにした (Baba et al. 執筆中)(2) 銀河中心距離 5 kpcで誕生した太陽系の軌道移動の理解するためのテスト粒子シミュレーションを行った。その結果、太陽系は渦状腕は古典的な密度波モデルではなく、動的渦状腕モデル (Baba et al. 2013) である場合、かつ棒状構造のパターン速度が減速 する場合に、二種類の共鳴捕捉によって離心率を大きく増加させることなく移動できることを明らかにした(Baba et al. 執筆中)。また、共同研究により銀河円盤の流体シミュレーションにより、太陽系移動における巨大分子雲散乱の影響を調べた(Fujimoto他 執筆中)(3) 上記の描像に基づき、太陽を模したテスト粒子を太陽系母星団に置きかけた自己重力N体シミュレーションを行った。この計算に基づき、太陽系母星団は上述の軌道移動過程の間、銀河潮汐場の変化により破壊され、太陽兄弟星が銀河系内に拡散する過程を解析した。その結果、プレリミナリーではあるが、太陽兄弟星は棒状構造の共回転半径付近に共鳴捕捉されて分布する可能性が示唆された。(4) 太陽系移動において重要なバー形成時期の観測的検証法を天の川銀河のN体/SPHシミュレーションに基づき提案した (Baba et al. 2022)。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Peer Reviewed: 4 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 2 results) Remarks (1 results)
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Letters
Volume: 523 Issue: 1 Pages: 2850-2861
10.1093/mnrasl/slad033
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
Volume: 513 Issue: 2 Pages: 2850-2861
10.1093/mnras/stac598
The Astrophysical Journal
Volume: 917 Issue: 2 Pages: 78-78
10.3847/1538-4357/ac07a8
Volume: 508 Issue: 1 Pages: 728-736
10.1093/mnras/stab2582
https://www.cfca.nao.ac.jp/pr/20220909