Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年発達してきた反電子ニュートリノの測定手法によって, 原子炉ニュートリノ振動や地球ニュートリノ観測が行われているが, その背景事象の一つである13C(α,n)16O反応の一部において, 反応断面積の見積もり間違いが指摘されはじめている. しかし実験データがカムランド検出器での線源測定のみしかなく, 議論がある. そのため本研究では独立に上記反応の反応断面積の測定を試みる.13Cにα線を当てた際に出てくる陽電子がすぐに対消滅する511keVガンマ線信号を用いて事象選定を行い, 上記反応を求める.最終的にはカムランドにおける反電子ニュートリノ観測へ適用し, 高精度でのニュートリノ測定を行う.
Geant4およびPHITSシミュレーションを用いて241Amのアルファ線の最大エネルギーが210Poのアルファ線のエネルギー(約5.3 MeV)と同等になるような、空気中の飛距離を求め、3Dプリンタを用いてコリメータおよび線源固定用のジグを作成した。また本実験では長期間の連続測定が必要なため、遠隔での測定が可能なシステムの構築や、実験場所の周囲の環境をモニタし、変化を抑えるために環境測定機器を増強した。241Am線源を置いてアルファ線を13Cに当てる測定も行ったが、現在まで有意な信号は検出されていない。最終的に反応断面積を計算する際には5.3 MeVに届かないエネルギーについても、13Cに当たっているアルファ線のエネルギー分布を考慮する必要があるため、別途エネルギーを確認する必要があるが、まだ測定には至っていない。22Na線源と鉄板を用いて擬似的に探索信号と同様の対消滅ガンマ線を発生させ、測定器の応答確認を試みたが、想定よりもトリガーレートが低い状態になっている。本実験では十分な統計量が必要なため、原因の調査・究明を進めるとともに、並行して線源ありなしを比較しながらデータ取得を続けている。今後得られたデータ解析も進めるが、現在のトリガーレートでは必要な感度に至っていないため、継続してデータを取得し、統計量を増やすことも検討している。現在は2本のNaI検出器のみで測定しているところ、これを複数台用いて検出立体角を増やすことでも統計量を増やすことが可能であることから、対応を検討している。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。