Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
超微小なニュートリノ質量の絶対値を測るための実験、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の電波望遠鏡による観測などは超低ノイズの電波計測技術に立脚している。このような実験では受信機の外部から侵入する熱放射ノイズを抑制する電波吸収体「黒体」の技術開発が必要である。精密電波計測での実用性の高い黒体を達成するために、高い光学性能(吸収能力)だけでなく、金属面に低温下でも貼ることのできる黒体の開発を目指す。
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測によって、ニュートリノ質量和を精密に推定することができるが、地上CMB望遠鏡において、大きなノイズ源となりうるのが、地上の熱放射である。これを抑制するために、高い吸収能力を誇り、かつ低温で使用可能な電波吸収体を開発することが本研究の目的である。昨年度までに電波吸収体の吸収能力を向上させるための素材の最適化をおこない、Stycast と呼ばれる低温アルミ用エポキシ接着剤にカーボンファイバーを添加したものが優れていることがわかった。実際の望遠鏡における利用では、極低温(数K~-270℃)環境で使用されるが一方で、昨年の選定時は液体窒素(~-200℃)による冷却で吸収率の測定をしていた。そのため、-270℃でも-200℃での場合と同様に高い吸収率を誇るのかという不安要素があった。本年度はそれを解消するために、-270℃での素材の光学特性を測定するセットアップを開発し、実際に測定して光学特性が-270℃と-200℃で変わらないことを確認した。この結果によって、昨年度開発した電波吸収体が実際に利用する極低温環境下でも優れていることが証明できたと言える。また、低温用の電波吸収体の評価と並行して、常温の電波吸収体の開発もおこなった。望遠鏡の前面には、横から入ってくる光を遮断するバッフル構造が存在するが、その内壁に用いられる電波吸収体も地面熱放射を抑制するために必須である。低温と異なり屋外に露出されることになるので、耐UV性能や防水といった耐候性が必要になってくる。市販の電波吸収体では耐候性に乏しくボロボロになりやすいので、それをカバーする保護シートとその接着剤の選定、評価をおこなった。UV照射試験や光学測定を駆使した評価をおこない、望遠鏡での使用に耐えうるものを選定することができた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Applied Optics
Volume: 60 Issue: 25 Pages: 7678-7678
10.1364/ao.433254