Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ニュートリノの性質と暗黒物質の正体は素粒子物理学の最も重要な問題です.最も軽いニュートリノの質量等を解明するために,原子からのニュートリノ対放出過程が考えられています.一方,有力な暗黒物質の候補としてアクシオンやダークフォトンが挙げられます.暗黒物質が関与する原子レベルの過程によって,これらの粒子の探索を行うことも考えられています.本研究では,巨視的標的中の量子コヒーレンスによるこの様な微弱な素粒子過程の増幅について研究を行ないます.特に,原子の3つ以上の準位の間の量子コヒーレンスを用いた素粒子の微弱過程の増幅機構について研究を行い,その実現可能性を探究します.
3,4準位系の量子コヒーレンスを用いて微弱過程を増幅する方法について研究を進めた。巨視的標的における暗黒物質によるコヒーレントな遷移確率について、標的の有限サイズ効果および標的原子の励起準位の幅を考慮した詳細な計算を遂行した。また,同様の効果を考慮して、最も重要な背景事象である黒体輻射についても調べ、これを低減するための冷却温度と暗黒物質の検出感度の関係を定量的に評価した。具体的な実験スキームとして,セシウム原子を用いた実験について研究を進めた。セシウム原子の8p3/2状態から7d3/2状態へのハロー暗黒物質吸収による遷移を用いて、アクシオンやダークフォトンを検出するスキームについて研究を行った。この過程の増幅のために、8p3/2と6p3/2状態の間の量子コヒーレンスを生成する。生成された量子コヒーレンスの測定は8p3/2から6p3/2への遷移を用いる。この遷移は電気4重極遷移であり、我々の理論計算ではそのA係数は数Hz程度である。共同研究者の実験グループでこの遷移を観測することに成功し、理論計算と矛盾のないデータが得られている。この結果をもとに、量子コヒーレンス生成とその測定の実験を準備中である。関連する研究として、質量のないダークフォトンについての研究も行った。既存のミュー粒子崩壊実験のデータの再解析および最新のB中間子崩壊のデータの解析により、ダークフォトンとレプトンの結合について、これまでよりも優れた制限を得ることに成功した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physics Letters B
Volume: 843 Pages: 138035-138035
10.1016/j.physletb.2023.138035
http://www-het.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~tanaka/research.html