Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
素粒子標準模型はニュートリノ質量の起源を説明できない。この事実は「標準模型を超えた新しい物理」の存在を裏付けており、ニュートリノ研究を通じて高エネルギー理論の手がかりが 得られることを予感させる。実際、大統一理論などの枠組みを用いてニュートリノ質量の起源を説明する理論模型が数多く提案されているが、これらの理論模型は3種類のニュートリノ質量の大きさ、階層性、質量タイプの違いなどから判別できる。これらのデータが今後の実験で得られることで、ニュートリノの質量獲得機構の解明が進むと期待されている。本研究では、超弦理論に代表される量子重力理論の視点を取り入れることで、ニュートリノ質量の起源に迫りたい。
本研究の目的は、量子重力の立場からニュートリノ質量の起源に迫ることである。特に、散乱行列理論を応用することで、量子重力と整合的なニュートリノ質量の値、階層性、質量タイプなどを明らかにすることを目指している。前年度の研究では、素粒子標準模型における光子の散乱振幅のユニタリ性を重力相互作用まで考慮して精査し、散乱行列理論の有用性を確認した。研究最終年度である2022年度は、標準模型の他の粒子の散乱振幅や(ニュートリノと相互作用する)B-Lゲージ粒子に代表される「暗黒光子」の散乱振幅にこの解析を拡張した。特に、高エネルギーにおける重力散乱に関するいくつかの仮定のもと、暗黒光子の質量に対する理論的下限値を得ることに成功した。同様の下限は量子重力に特有の整合性条件「スワンプランド条件」として提案されている「弱い重力予想」や「距離予想」からも得られるため、本研究がこれらの予想に対するサポートを与えているとも言える。以上の結果については arXiv で論文を発表し、論文雑誌で現在査読中である。また、素粒子標準模型における他の散乱振幅の解析は年度内にほぼ終了しており、現在論文を執筆している段階にある。本研究の2年間では、素粒子標準模型や標準模型を超えた物理と量子重力の整合性を散乱行列理論の立場から探究した。当該期間ではベンチマークとなるような理論模型に絞って解析を行なったが、その過程で手法の汎用性を確認できた。また、重力理論に散乱行列理論を応用する際の理論的問題点も明らかになった。本研究終了後も引き続き理論と現象論の両面でこの成果を発展させていきたい。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 5 results) Presentation (12 results) (of which Int'l Joint Research: 11 results, Invited: 11 results)
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
Volume: 2023 Issue: 04 Pages: 1-23
10.1088/1475-7516/2023/04/035
Journal of High Energy Physics
Volume: 2022 Issue: 12 Pages: 1-22
10.1007/jhep12(2022)130
Volume: 2022 Issue: 10 Pages: 1-16
10.1007/jhep10(2022)015
Physical Review Letters
Volume: 127 Issue: 9 Pages: 1-6
10.1103/physrevlett.127.091602
Physical Review D
Volume: 104 Issue: 6 Pages: 1-22
10.1103/physrevd.104.066022
120007165720