Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
硬質層と軟質層からなる層状構造を有するミルフィーユ構造は塑性変形を与えることで,結晶の折れ曲がり(キンク)が導入され,強化される.しかし,キンク強化の理解は不十分であり,キンク変形とキンク強化量の分離手法は未だ確立されていない.本研究ではミルフィーユ構造材料内に形成されるキンク境界の易動度と集団としてのキンク(キンク群)の安定構造に注目し,繰り返し変形下でのキンク境界の可逆的移動と熱処理による安定化について検討する.
Mg85Zn6Y9一方向凝固材薄帯を試料とし,曲げ試験によって試料表面に圧縮・引張ひずみを与えることで,試料中へのくさび型キンクの導入と,導入済みキンクへのひずみ負荷の影響を調査した.また,キンク導入後に熱処理を施し,キンク導入,熱処理,反転曲げの各段階で材料強度を調査した.その結果,以下の成果が得られた.Mg85Zn6Y9一方向凝固材薄帯表面に,一次すべり面に対して垂直方向に凹凸を導入することで,キンク帯の均一分散が達成された.また,一旦導入されたキンクに対し,反転曲げを施すことで,キンク界面の界面性格(回転角)は大幅に減少するが,キンク界面の移動は僅かであり,マグネシウム中の双晶のtwinning-detwinningのような現象は認められなかった.反転曲げ後のキンク界面には転位の堆積は認められず,回転角が小さなキンクは転位運動に対する障害物としての効果が低下すると考えられる.曲げ変形によって導入されたキンクおよびその近傍の硬さは母相に比べて明らかに増加する.一方で,反転曲げを行い,キンク界面の回転角が低下した場合,キンク近傍の硬さは有意に低下した.また,この現象は熱処理の有無に関わらず生じる.曲げ変形を受けたMg85Zn6Y9一方向凝固材薄帯に熱処理を施すと,母相ならびにキンク帯近傍の硬さは増加する.硬さの増加は550~570Kで最大値を取った後,600Kでは低下する.これらの硬さ増加は主に熱処理中の転位上ならびにキンク界面上への微細析出によってもたらされる.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021
All Presentation (26 results) (of which Int'l Joint Research: 7 results, Invited: 4 results)