光核反応からのクラスター崩壊の理論研究と最高エネルギー宇宙線への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Clustering as a window on the hierarchical structure of quantum systems |
Project/Area Number |
21H00113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 真明 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50402813)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 光核反応 / 巨大共鳴 / アルファ崩壊 / 高エネルギー宇宙線 / クラスター崩壊 / クラスター / 宇宙線 |
Outline of Research at the Start |
最高エネルギー宇宙線は、1020eVにも至るエネルギーで地球に飛来しているが、そうした高エネルギーの原子核が宇宙のどこで、どのように生成されているのかは、全くわかっていない。そこで本研究では、原子核と光の反応、及びそれに伴って起こるクラスター崩壊を研究し、宇宙線の銀河間伝播をシミュレートすることで、最高エネルギー宇宙線の発生源に迫る。
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Outline of Annual Research Achievements |
宇宙空間を伝搬する高エネルギー宇宙線と宇宙背景放射との相互作用を理解するために、軽い核のE1巨大共鳴の研究を行った。対象とする原子核として12C, 13Cを選び、半古典的な運動方程式に基づく実時間発展法とSkyrme力やGogny力などの密度汎関数パラーメータを用いて計算を行った。その結果、Gogny力は観測されている共鳴のエネルギーをおおよそ再現するが、Skyrme力はエネルギーを高く見積もる傾向が分かった。また、得られた共鳴の波動関数にラプラス展開法を適用することで、巨大共鳴からの陽子, 中性子,α粒子放出崩壊の分岐比を見積もった。その結果、12Cでは陽子放出, 中性子放出の換算崩壊幅がほぼ同じ値であり、α粒子放出はほとんど起こらないとの結果を得、従来の推定とは大きく異なる結果を得た。 この違いは、現在の理論模型ではアイソスピン対称性の破れが十分に考慮されていないことに起因する可能性がある。そこで、アイソスピン対称性の破れによる、巨大共鳴からのα崩壊を検証するため、新しい理論手法を開発した。この方法は、エネルギー変分で求めた波動関数をアイソスピン空間で回転することで基底関数を生成し、その重ねあわせで系を記述することで、アイソスピン対称性とその破れを記述する。理論手法の有効性を確認するために、テスト計算として14N原子核に適用した。その結果、アイソスピン0の基底, 低励起状態と、アイソスピン1の高励起状態(アイソバリックアナログ状態)の両方を統一的に記述し、同時に対称性の破れに伴うアイソスピン混合を定量的に記述できることを示した。以上の結果は1編の論文として発表済みであり、さらに別の一編を投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実時間発展法を用いて、E1遷移強度と共鳴からの崩壊分岐比を求める枠組みを整備できたことは評価できる。ただし、当初予想よりも多くの計算時間が必要となったため、密度汎関数を最適化することはできなかった。また、コロナ禍により参加を予定していた研究会が軒並み中止となり、計画したような成果のアピールができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な枠組みは、ほぼ完成しているため、計算プログラムの大規模な並列化を行うことで系統的な計算を可能にし、当初の目標であった密度汎関数の最適化を行う。また、新しく開発した手法を適用することで、巨大共鳴からの崩壊分岐比を求め、α崩壊抑制効果の大きさを検証する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)