Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
不安定原子核の崩壊モードとしてアルファ崩壊がよく知られているが、アルファ粒子以外にも、14C や24Ne などの比較的重い原子核を放出して崩壊する現象(クラスター崩壊)も実験的に観測されている。これらはニホニウムなどの超重元素の主要崩壊モードの一つとなる可能性があることが指摘されている。本研究では、殻模型の考えに基づいてこれらの崩壊現象に対する新しい理論手法を開発する。これにより、不安定原子核の崩壊のダイナミックスを探るとともに、重い原子核のクラスター発現のメカニズムに迫る。
今年度は、本研究で開発中のクラスター崩壊現象に対する微視的アプローチを用いて、誘起核分裂の研究を中心に行った。このアプローチによるクラスター崩壊、自発核分裂、誘起核分裂の記述のいずれの場合でも、出発点となるのは密度汎関数法を用いて原子核の各形状における多体系の配位を構成し、それらを生成座標法の考えに基づき結合させるということである。クラスター崩壊や自発核分裂では各形状における基底状態近傍の配位が重要となるが、誘起核分裂では多くの励起配位を取り込むことが重要となる。これは、各変形における基底状態のみを取り入れる生成座標法の拡張ととらえることができる。その際、原子核形状に対し、離散化して生成座標法を適用することが実際上は必要となる。本研究では、まず、簡単なトイ模型を用いてどのくらいの間隔で集団座標を離散化するべきか検討を行った。その結果、間隔を比較的大きくとって離散化しても透過係数の結果にはあまり影響を及ぼさないことを見出した。大きな座標間隔のために、生成座標法の計算でしばしば現れる過完全性の問題をよく回避できることも明らかにした。これらの成果は Phys. Rev. C 誌に発表された。この結果に基づき、Skyrme 力に基づく密度汎関数を用いた235U核の中性子誘起核分裂に対する半現実的な計算を行った。その際、多体配位間の非直交性を考慮するとともに、残留相互作用として対相関相互作用及び透過準位同士をつなぐ相互作用の2つを考慮した。これをグリーン関数法に基づく核反応理論と組み合わして核分裂確率を求め、低エネルギー誘起核分裂において対相関相互作用が重要な役割を果たすことを明らかにした。この成果をPhys.Rev.C誌に投稿し、現在印刷中となっている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (10 results) (of which Int'l Joint Research: 7 results, Peer Reviewed: 10 results) Presentation (9 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 4 results)
Phys. Rev. C
Volume: 105 Issue: 3
10.1103/physrevc.105.034618
Physical Review C
Volume: 105 Issue: 6
10.1103/physrevc.105.064302
Volume: 106 Issue: 3
10.1103/physrevc.106.034313
Prog. in Part. and Nucl. Phys.
Volume: 125 Pages: 103951-103951
10.1016/j.ppnp.2022.103951
J. Phys. G
Volume: 49 Issue: 9 Pages: 095101-095101
10.1088/1361-6471/ac7edd
10.1103/physrevc.105.034326
10.1103/physrevc.105.034323
Volume: 104 Issue: 1
10.1103/physrevc.104.l011303
120007193003
Phys. Rev. E
Volume: 104 Issue: 5
10.1103/physreve.104.l052104
J. Phys. Soc. Jpn.
Volume: 90 Issue: 11
10.7566/jpsj.90.114005
210000159396